毎日読書メモ(239)『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(梨木香歩)、そして『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)
梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(理論社、現在は岩波現代文庫からも刊行されている)の読書記録。この本を読むのに先立って、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)も読んだのでこちらの感想も載せておく。あと、『僕は、そして僕たちはどう生きるか』の中で、同じ理論社から刊行された、AV監督の本についての批判が出てくるのだが、読んで10年以上たった今でも、ここの部分の胸苦しさが消えない。また、『君たちはどう生きるか』の時代感は、昨年読んだアキラ・ミズバヤシ『壊れた魂』(感想ここ)につながっていることも思い出した。
『僕は、そして僕たちはどう生きるか』:『君たちはどう生きるか』への返歌のような、現代のコペルくんの物語。本の構成は吉野源三郎の本とは全然違って、さらさらと、コペルくんの一日を追っていくのだが、僅か一日で、しかもそんなに大きな移動をした訳でもないのに、それはそれは大きな魂の冒険を、コペルくんも、ユージンもショウコもインジャも体験するのである。昔の話、今の悪の話、目をそむけたくなるような現実の中で、わたしたちはどこでノーという態度を取るべきなのか。わたしたちはいつも考え続けなくてはいけない。(2011年7月の記録)
『君たちはどう生きるか』:若い時に読みそびれた名著。子どもが高校入学時の作文の課題に必要で買ったので、一緒に読んだ。この、戦前のいい家の坊ちゃんの生活の感じ、子どもにはわからないか? 中島京子『ちいさいおうち』を彷彿。倫理、ということについて色々考える。コペルくんが友達を守れなかったシーンで胸が痛くなる。また、人間は歴史を変えられるか、ということを昔から考え続けているのだが、ナポレオンとアレキサンダー大王のエピソードを紹介して、わたしの長年の疑問についても一緒に考えてくれている感じで、大変楽しく読めた。(2011年4月の記録)
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