毎日読書メモ(85)『女が死ぬ』(松田青子)
書評欄で勧められていた松田青子『女が死ぬ』(中公文庫)を、本屋で見かけて買って帰る。いやいや、痛快な読書でした。
一番短い作品は1ページ(というかタイトルだけ、の作品もあった!)、一番長い表題作でも15ページ、色んなアプローチの作品が取り揃えられているが、女性の生きにくさなんてくそくらえ、という通奏低音の流れる上に書かれていて、ふつふつとした怒りも感じられる。特に、「女が死ぬ」と「男性ならではの感性」はある程度長さがあったこともあり、ジェンダーからの解放への長い道のりを実感させられる。
作家であると同時に翻訳家でもあるので、英語の教科書の例文のパロディののような「英作文問題」とかも笑える。視点が斬新で、主体をこんな風に換骨奪胎させられるのか!、と感嘆したり(「ナショナルアンセムの恋わずらい」「ハワイ」「週末のはじまり」、その他色々)。小説の中に出てくるバルテュスやイーヴリン・ド・モーガンの絵は、スマホで検索して、眺めながら読む。一つ一つの作品が新鮮な驚き。
文章表現の新たな視界が開けた気分です。
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