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心に重なる、言葉たち。
今朝起きてから、ひとつ、ひとつ、いつものルーティンをこなしながら、昨日見た「PERFECT DAYS」を思い出していた。
準備完了、外に出ると東の山の際がほんのりオレンジに染まり出す。
その上に、毎日静かにひとつ輝いている明けの明星、これを見ると、なんだか勇気をもらえる気がする。
車のエンジンをかけるとちょうど流れてきたのは、Perfumeのチョコレイトディスコ。
今日はバレンタインでした。
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そう、「PERFECT DAYS」を見ながら思い出していたのは、最近読み終えた本。
ひとつは、吉田篤弘さんの「なにごともなく、晴天。」。
私なりに感じた「PERFECT DAYS」の意味するところが、この「なにごともなく、晴天。」という言葉と重なったのだ。
仮に世の中がなにごともなく平穏で、皆が晴れ晴れとした日々を送っていたとしても、それは表面的なことであって、誰もが胸のうちに悲しみや痛みや不安を抱えている。悲しみをひとつも持っていない人などいるはずがないー。
したがって、「なにごともなく、晴天。」という言葉のあとには、かっこ付きで(そんなはずはないけれど)と、つづくわけです。
私はこのふたつの言葉を重ねて噛み締めながら、それぞれの「いろいろ」を含んでなお、「なにごともなく、パーフェクトな」と表現しようとする人々の日常が、愛おしいなぁと思ったわけなのでした。
あぁ、やっぱりよかったなぁ…
そして、もうひとつが、斉藤倫さんの「レディオワン」。
これは児童書ではあるのだけれど、去年同じく斉藤倫さんの「ポエトリー・ドッグス」をすごく好きだったと思ったので、図書館で借りてきたもの。(なんだろう、今回何かきっかけがあったのだけれど、忘れてしまった…)
どちらも、言葉を話せる犬のお話。
にんげんは、よくうえを見あげます。だから、桜が好きなんでしょう。いぬは、そうじゃない。空なんか見なくたって、地面に、びっくりするくらい、いきものはいて、花は咲き、草は芽ぶいています。それに、ひとは気づかないんですね。
役所広司さん演じる平山さんは、いつも空を見上げながらも、足元の小さな芽を見つけて大切に育てたりもする。
そんなシーンで、この本のこの部分を思い出して、なんだかうれしくなった。
そうだよね、いいよね。
空を、上を向くだけじゃなくて、下を向いていたってすてきなことに気付けるよね、なんだかそんなことを勝手に思って納得したりして、じわんとうれしくなったのだ。
斉藤倫さんの本は、なんていうんだろう……
読み進めていくうちに、お薬のようにゆっくり、やさしく、するりするりと心に染み込んでいき、気付けば目の奥が熱く心があったかくなってゆく…そう、そんな言葉の集まりだと思う。
昨日今日と、映画を思い出して頭の中に浮かんでいたほんのりうれしい思い、言葉にできてよかった!
今日も読んでいただいて、ありがとうございます。