様々な作品との出会いが、自分を変える
2024年の下半期、これまで積極的にしてこなかった映画鑑賞や読書を始めました。今回は、2024年に読んだ本と観た映画を紹介します。
2024年に読んだ本
2024年に読んだ本は、下記5冊です。主に、エッセイや実話をもとにした本を読むことが多い1年でした。
このままではない これからへ(著者:松岡美希さん)
初めに紹介するのは、松岡美希さんの「このままではない これからへ」です。自分と向き合うきっかけをつくる「じぶんジカン」というブランドを運営する松岡さんのエッセイです。
全編を通して、松岡さんは普段から「自分だったらどうするのか?」「なぜそう思ったのか?」と自分の声を聞き、行動する方という印象を抱きました。松岡さんの日頃の思考がブランドに反映されていると感じました。
ジャングルのチョコレート工場 -甘いチョコの甘くない現実に挑んだ大学生-(著者:横山亜未さん)
2冊目は、横山亜未さんの「ジャングルのチョコレート工場 -甘いチョコの甘くない現実に挑んだ大学生-」です。ガーナでチョコレート工場長として活動する田口愛さんの実体験が描かれています。
以前から、田口さんは行動力がある方だと感じていました。地域の方々1人1人の声を聞いて、課題を見つけ、その課題を解決するために、今できることから行動していくスタンスが、とても尊敬します。
また、ガーナの方々が自立していくためのビジネスをしている点もすごいと思いました。田口さんがガーナの方々と関係性を築いていく中で、自立を求めている方々の声を聞けたからこその方向性だと思いました。
昨年、田口さんは「ガーナからチョコレート産業を立ち上げる」という夢のため、クラウドファンディングを行いました。田口さんの夢が実現することを祈ります。
水晶体に映る記憶(著者:小林ひかりさん)
3冊目は、小林ひかりさんの「水晶体に映る記憶」です。小林さんが、学生時代や卒業後の暮らしで感じたことを描いているエッセイです。
ひかりさんは、学生時代から一貫して「心への優しい触れ方」を模索しているという印象を抱きました。相手へ表面的に寄り添うというより、相手が本当に欲しい言葉やとって欲しい行動をいかに自分がとれるか。相手の本心をどのように汲み取るか。相手を心から大切にしたいと思っている、とても優しい方だと思います。
霞を食べ、光を飲む(著者:小林ひかりさん)
4冊目は、小林ひかりさんの「霞を食べ、光を飲む」です。社会人になった小林さんにとって大切な要素となっている西の街での暮らしや、結婚前後で感じたことなどについて描いているエッセイです。
この本を読んで、他者からかけられた言葉やしてもらったことを大切にし、他者から助けられて生きていると素直に思える小林さんがとても羨ましいと思いました。私は、つい相手の言動の裏側を想像して、ネガティブに考えてしまうことがあるため、小林さんのようなマインドを持ちたいです。
また、小林さんは自身が素敵だと思うものや感受性を大切にし、それを日々に取り入れることで、自分の存在を再認識している点も素敵だと思いました。私は、特に平日は時間に追われ、余裕がなくなってしまうため、自分の感性を取り戻せる小さな行動を取り入れてみたいと思いました。
小説 きみの色(著者:佐野晶さん)
最後に紹介するのは、佐野晶さんの「小説 きみの色」です。2024年8月に公開された映画「きみの色」を原作とした小説です。詳しい内容は、映画の項で紹介します。
おすすめしたい本
2024年読んだ本の中で、特におすすめしたいのは小林ひかりさんの「水晶体に映る記憶」「霞を食べ、光を飲む」です。小林さんの言葉選びや文章表現が素敵で、これまで読んできた本の中で、内容がスッと頭に入りやすい本だと思っています。
また、読み進めていくと、私自身や本と対話している感覚になります。過去を振り返ったり、小林さんの感じたことに対して「心に留めておきたい」と思ったり、共感したり。本を読んでいる時間が自分のためになっていると、初めて思いました。
2024年に観た映画
2024年に観た映画は、下記4作品です。主に、音楽系の映画を多く鑑賞しました。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章
初めに紹介するのは、2024年9月に公開された映画「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章」です。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はラブライブ!シリーズの3作品目で、これまでにテレビアニメやOVAが放送されています。
「今もっとも推せるスクールアイドル」を決めるスクールアイドルGPXというイベントに参加するため、沖縄会場に向かった同好会メンバーを中心に、お話は進みます。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、1人1人のやりたいことや目標に向かって、それぞれの表現方法でアイドルをしているのが素敵だと思います。
ソロでアイドルをするだけではなく、時には誰かとユニットを組んだり、同好会全員で曲を披露したり。表舞台に出るだけではなく、ソロで曲を披露する/している人を裏方としてサポートすることも。
ソロのアイドルとしては、同好会メンバーはお互いライバルではあるけれども、仲間でもある。メンバーを気にかけたり、メンバーのためを思って動いたり。それが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の良いところだと、改めて思いました。
きみの色
次に紹介するのは、2024年8月に公開された映画「きみの色」です。誰にも言えない悩みを持つ高校生のトツ子、きみ、ルイの3人が、音楽を通して心を通わせていくお話です。
これまで観た映画の中で、初めて「何回も観たい」「もっとこの作品について知りたい」と思えた映画でした。
この映画は、何か目標を持って努力したり結果を出したりする内容というより、自分の悩みと今後どのように向き合うのか、過程を見るという内容でした。上映期間中2回鑑賞したのですが、初めて観た時、映画に求めていたことと実際の内容にギャップを感じ、モヤモヤしました。
それでも、2回の鑑賞を通して共通していたのは、3人の成長を感じたり涙したりしたことです。特に、最後のきみちゃんのルイくんに向けた叫びは、きみちゃんがその時にできる最大限の愛の言葉だと思い、泣いてしまいました。
また、この映画では、登場人物の過去や心情の説明は「言葉」としては語られません。登場人物の表情や行動、回想、家具などアニメーションで語られます。なので、1回目の鑑賞の時は、
トツ子は何に悩んでいるんだろう?色が見えるって、そこまでおかしいこと?
ルイくんの兄弟は何をやっているんだろう?兄弟は病院を継ぐ意思はないの?
きみちゃんの親はどこにいるの?何をしているの?高校退学、簡単に了承しちゃったの?
など、疑問に思うことがたくさんありました。視聴者の想像にお任せするところが多く、それが楽しいと思う場面もあれば、逆に疑問が生まれ、モヤモヤする場面もありました。
ですが、その後に小説や漫画を読んで、映画の見方が変わりました。2回目の鑑賞の時、特にきみちゃんの表情の変化には敏感になりました。
視聴者の想像にお任せする表現が多いのに、小説や漫画を読んで内容を理解しようとするのは間違いかもしれませんが、私は小説や漫画を読んだ上で観た「きみの色」は、とても楽しめました。
「きみの色」が気になる方は、1回目は事前情報なしで鑑賞し、2回目以降は小説や漫画などを読んでから観ることをおすすめします。
風が吹くとき
次に紹介するのは、2024年8月にリバイバル上映された映画「風が吹くとき」です。戦争が始まったイギリスで暮らす夫婦の生活を写したお話です。
全体的に、2人に対して不安になる要素が多いと感じました。作中で核爆弾が落とされるのですが、各家庭での核爆弾に対する対策の1つとして作られたシェルターは簡易的。爆発から3〜4日くらいでシェルターから出ていたり、雨水を溜めて飲んでいたりなど、「大丈夫なのか?」と心配になる言動が多くありました。
また、2人ともどこか楽観的で、過去に戦争を経験し、生き残っていることから「今回も大丈夫」とお互いを励ましながら生活しているところも不安になる要素でした。
2人の言動に対して不安に思いつつも一般市民に戦争を止める力はないし、徐々に弱っていく2人を観て、「自分はこうなりたくない」と思いました。
パリのちいさなオーケストラ
最後に紹介するのは、2024年9月に上映された映画「パリのちいさなオーケストラ」です。指揮者を目指す少女が指揮者や音楽を学びながら、自らオーケストラを立ち上げるという実話を描いた作品です。
この映画は実話を描いた作品なので、綺麗に結末を迎えるわけではありません。主人公は現在も現役の指揮者で、この作品は彼女の指揮者人生の始まりの物語です。
指揮者を目指す主人公が、曲への理解を大切にし、演奏にも反映しようと指揮しているのが良いと思いました。主人公以外にも指揮者を目指している方が出てくるのですが、その方との対比も描かれていて、面白かったです。
作中で主人公が師事した指揮者の言葉が印象的でした。特に「孤独を感じているときは、奏者と離れている。みんなで一体となった時、奇跡が起こる。」という台詞は、物語終盤で体現されているように感じました。
物語終盤で、主人公が指揮者のコンクールの予選で落選したことがきっかけで落ち込み、自室にこもってしまうシーンがあります。そんな主人公を変えてくれたのが、主人公が立ち上げたオーケストラの奏者たちです。
音楽を通じて成長するだけではなく、指揮者と奏者と観客が一体となり、出生地や立場の違う人々がつながることができるというのを知ることができた作品でした。
おすすめしたい映画
2024年観た映画の中で、特におすすめしたいのは「きみの色」です。この映画は、「普通に面白い」「1回見るだけで十分」な作品ではありません。何度も見ることで徐々に理解が深まり、楽しめる作品です。
3人の周囲の方々はとても優しい、心強い方々ばかりでした。きみやトツ子が悩んでいる時に優しい言葉をかけてくれたり、先生に進言したりしてくださった日吉子先生。体調不良と嘘をつかれたにもかかわらずトツ子を気にかけ、3人のライブも応援してくれた森の3姉妹やトツ子の家族。
3人もお互い深入りしすぎず、徐々に仲を深めていく関係性がとても良いと思いました。バンド活動の中で現状を変える勇気を出し、成長する姿も見ることができます。しろねこ堂での出会いやトツ子の発言がなかったら、3人の悩みは平行線だったんだろうな……と思います。
小説版終盤で語られる映画版の後日談が、想像を膨らませてくれますので、小説版もぜひ読んでいただきたいです。2025年2月末にはDVD・Blu-rayが発売されるため、映画版もぜひご覧ください。
まとめ
「きみの色」を鑑賞したことがきっかけで、以前習い事としてやっていたピアノを始めました。作中で演奏される「水金地火木土天アーメン」が癖になり、楽譜が出ていることから、演奏してみたいと思うようになりました。
以前から私は定期的にアニメを観ているのですが、マンネリ化していて、1ヶ月後には内容を覚えていないということが多々ありました。何回も視聴していれば忘れることもないのですが、時間もなく「1回でいいや」と思うようになっていました。
なので、普段観ない映画を複数回観たり、映画の影響でしばらくしていなかったことを再開したりするとは思いもよらず、驚いています。今後は、様々な作品との出会いを大切にしたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。