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文学空間 01

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いくつかの短篇といくつかの詩。
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記事一覧

ナポリの女乞食

 ぼくがナポリに住んでいた時のこと。  いつも住居の戸口のあたりに女乞食がいた。ぼくは外…

チェリー・ピッキング

チェリー・ピッキング(英語: cherry picking)。数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例…

野饗(のあえ) / 羈旅(きりょ)

野饗(のあえ) 翡翠(かわせみ)のひだりの脚に結ぼれて  惜しみなく無季の散華にゆらめき…

廃城姫

      王女は廃墟で手紙を書く  そこは彼女ら王族のかつての居城で  飢饉と戦(いくさ)…

かぎろひ・全12篇

かぎろひ  青ざめた廃語の駅を抜けて 微かに燐のような光を放つ とうめいなさかなを肩口の…

チャッキー・チョッキー・パーティー

 チャッキー・チョッキー・パーティーへの招待状が来ても  ぜったいに応じてはいけませぬ。…

ドゥルージーな夜

 すこし缺けた月が空にかがやく  このうえなくドゥルージーな夜  この繊細なる濃密をコトバにできるのはプルーストかミシマくらいなもの  おれはニーチェアンで  オマエはシニフィアン  ギターを抱いて歌ってるのはボブディラン

魔の刻(とき)

 とある家中に、※※九兵衛という侍がいた。炎暑のころ、役所に出て政務をとったが、連日の過…

ノクティルカ

 ぼさぼさの髪を背中の半ばくらいまで垂らし、Tシャツやらトレーナーやらを何枚となく重ね着…

ヴァルツバルトの星まつり

 隧道の中は、いつものように薄暗く、ひんやりしていた。向うがわから差し込む光は、闇を截然…

暗殺者のアリア

 かつて足繁く通いつめていた界隈に、久しぶりに行った。ずっと気にかかってはいたが、いざ出…

天使の羽音

 もともと彼女は、女優というより霊媒ないしは巫女に近く、役柄を演じるというよりは自らの肉…

3人でダンス

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楽園の耳

 外見だけをいうならば、彼はさながら蜘蛛だった。もちろん、そんなことはどうでもいい。なんだったら、ほんものの蜘蛛であってもかまわない。人間大のどでかい蜘蛛。上等ではないか。私はまるごと受け入れる。  彼はピアノを弾く。本職のピアニストというわけではない。つまり、世間に名前が通っているわけでも、それを生業にしているわけでもない。彼はただ単にピアノを弾くのだ。それが彼のアルファでありオメガであり、つまりは、いうところのレーゾンデートルである。  はじめてここを訪れて、扉をあけた彼