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介護現場でのハラスメントについて

みなさん、いかがお過ごしですか?
寒さが一段と厳しさを増してまいりましたので、お体に気を付けて日々お過ごし下さい。

先日、わたしは同僚に「めっちゃ寒いね、異常気象だよ。もうここはアラスカだな」と、話しました。
わたしはこう見えて寒がりなのです。
すると同僚は、「いや、ここ日本だし」と言って、失笑しました。
失笑とはいえ笑いが取れたことに、わたしは心の中でガッツポーズをとりました。

まあ、そんな話はどうでもよくて、今回は職場で行われた研修会のアウトプットをしたいと思います。

テーマは『介護現場でのハラスメント』についてです。
ハラスメントといっても数多くありますが、今回は2つ。
セクシャルハラスメントとパワーハラスメントです。

1.セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントには以下の2種類があります。
(1)対価型
(2)環境型

対価型とは、仕事上の不利益を与えることです。
例えば、
・上司に身体を触られて抵抗したら配置転換をさせられた。
・事業主が労働者に対して性的な関係を要求をし、断ったら解雇された。
・プライベートなことを執拗に聞かれ、その内容について周りに吹聴したため抗議をしたら降格させられた。
などです。

環境型とは、就業環境を悪化させることです。
例えば、
・身体を触られ、苦痛を感じて仕事への意欲が低下する。
・取引先に自分の性的なことにかかわる情報を意図的に流され、それが原因で仕事が手につかなくなる。
・事務所内に性的なポスターを掲示し、それが不快で業務に専念できない。
などです。

平成生まれの方々にはもしかしたら理解しがたいかもしれませんが、昭和の時代はこんなことが平然と行われていました。

「よっ、A子ちゃん。今日も元気だね」
と言いながら、おしりをぺろん。
「ちょっと、部長! 朝から何するんですか」
「あはは、こんなのただの挨拶代わりじゃないか」

給湯室にて・・・

「あのクソ部長マジでムカつく! 毎朝尻触りやがって」
「えっ、A子も? あたしもそうなのよ。この前なんかすれ違いざまに胸触ったのよ!」
「マジで? ホンットに許せない! お茶に雑巾のしぼり汁入れて出してやる」

そんなことがあったりなかったり。

ではその対応と防止策について。
(1)介護施設や管理者の対応
 ①基本方針の確立や職員への周知と啓発
 ②相談できる環境・組織作り
 ③事例の背景・要因についての個別検討
 ④個々の介護職員の許容度の尊重

(2)介護職員の対応
 ①不快に感じたときは、はっきりと意思表示をする
 ②上司や同僚に報告・相談をする
 ③客観的な記録をとる

世の中とは常に変化しています。施設もそれに合わせて基準を変えなければなりません。

それによって法人としてどうすればいいのか、また、個人としてはどうすればいいのかを考えていく必要があるのです。

2.パワーハラスメント

パワーハラスメントとは、

職員に対して、「地位」や「人間関係などの優位性」を背景に、業務の範囲を超えて、精神的苦痛・身体的苦痛または職場環境を悪化させる行為

を言います。
例えば、
 ①暴行・傷害
 ②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
 ③仲間外し・無視
 ④業務上明らかに意味ないこと、できないことへの強制、仕事の妨害(過大な要求)
 ⑤プライベートへの干渉(個人的な手伝いなど)

「優位性」とは何でしょう。それは、肩書や職位の上下関係だけではなく、専門性や経験、学歴などもそれにあたります。その中でも、上司から部下など、力関係を背景としたパワハラが多くあります。これはイメージしやすいかと思います。

その逆で、部下が上司にパワハラ行為を行うケースもあります。例えば、上司を昇進させまいと、わざとその上司から嫌がらせを受けているように振る舞うなどです。

では、「業務の範囲を超えて、精神的苦痛・身体的苦痛」を与えるとはどういうことか。

まず大事なのは、「何が業務の範囲内なのか」です。これを見極めるのが難しい場合があります。様々な要素を総合的に見て、客観的に判断しなければなりません。

例えば、介護現場において上司があるスタッフに「あなた太っているから痩せなさい」と言ったとします。そのスタッフはそう言われたことで傷つき、痩せることを強要され、体調を崩して仕事ができなくなったとします。

このとき考えなければならないのは、介護をする上で、痩せる必要があるのか? ということです。太っていても介護をすることに問題はありません。つまり痩せることは業務の範囲外のことだと言えます。なのでこの場合は、パワハラに当たる可能性が高いと考えられます。

「職場環境の悪化」については、例えば急に大声で怒鳴ったり、失敗を必要以上に強く責めたりすることでそれを受けた本人だけでなく、周囲の人間も圧力を感じ、仕事に影響が出ることを言います。そういった言動をした本人に悪意はなくとも、周りが不快に思えばパワハラになる可能性があります。

介護施設においてパワハラを放置するとどうなるのでしょうか。
次のような悪影響が発生すると考えられます。

 ①入居者の利用満足度の低下
 ②職員の離職率の向上
 ③求職者の応募減少
 ④人件費の向上による、処遇の低下

施設に入所している入居者さんが、1日に受けている介護の時間は約3時間ほどだと言われています。10時間寝ているとすると、10~11時間は何もしていない時間があることになります。

入居者さんというのは周りをよく見ているものです。職員がみんなの前で𠮟責をされたり、いじめられているところを見ています。「またあの人怒られているわ」と、思うわけです。

そして職員の仕事意欲が下がることでサービスも低下し、利用満足度が低下したり、職員がすぐに辞めてしまいます。

また、「あの施設はパワハラがあるらしいよ」と噂が立ち、求人しても人が集まらなくなります。

放置してもいいことはありませんので、事が小さいうちに早めに上司に相談した方がいいでしょう。まずは直属の上司に相談し、それでも何も動かなければそのまた上の上司に相談しましょう。
ただしここで注意点が一つあります。直属の上司のそのまた上の上司に相談するときは、直属の上司のいないところで相談しましょう。直属の上司の面子が潰れてしまうので。

介護現場では職員間のハラスメントだけではなく、利用者様から職員、またはその逆もあります。入浴介助中であったり、居室内で介助に入り、二人きりになった時などにハラスメントを受けることが多くあります。

時には「後で二人きりで話をしようよ」と、お誘いを受けることもあります。その場合は広間でもいいか確認をしたり、居室でなければならないときはドアを開けておくことで密室にならないようにした方が安全です。その場合は話の内容を記録したり、確認を取った上でボイスレコーダーに録音しておくのも一つの手です。

ハラスメントかそうでないかの判断は難しい面があります。法人としてやっておかなくてはならないことは、運営規定の中にハラスメントの事項をきちんと入れ込むことです。その上で相談窓口をできれば2つ設けて職員が気軽に相談できる環境を作り、そうすることで早めの対応をとることができるのです。

それができれば職員も安心して働くことができ、仕事のパフォーマンスも上がり、サービスが向上することで利用者様の利用満足度も上がり、離職率が下がって売り上げが上がるというわけです。

そしてもっとも言いたいことは、せっかく新しい人材が介護業界に来てくれたにもかかわらず、そこでハラスメントを受けてしまったら、その人はもう二度と介護の世界には戻ってこないということです。

介護業界には人材が来なくなってしまうのです。

ただでさえ人材不足に悩まされているのに、これは由々しき問題です。ですから今介護業界で誠実に一生懸命頑張っている人たちが、これから来るであろう新しい人たちを迎え入れるべく、しっかりと勉強をしていかなければなりません。

利用者様や職員にとっていい施設を作るには、多くのことをしなければなりません。ハラスメント対策もその中の1つです。

「あなたの施設ではハラスメント対策はどうしてるの?」
と聞かれ、
「ハラスメント対策? 特に何もしてませんけど何か?」
「はぁ、何もしてないんですか~」
と、失笑されないように、法人としてハラスメントについてしっかりと考えていきましょう。

誰かみたいに失笑されてガッツポーズをしている場合ではないのです。

では、みなさん。ここまで読んでいただきありがとうございました。

またお会い致しましょう。

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