#2 笑えない、笑い話。~ジェンダーバイアスがかかった目では、あるはずのものが見えない?~
こんにちは。製造業で広報関係の仕事をしている 失敗から学ぶ人 と申します。アラフォーです。noteでは、長年日本企業で働いてきて思うこと(組織運営、ジェンダー、働き方)やソーシャルな活動を通して考えていることを書いていきます。
今回は、うちの営業のNさん(アラフォー、男性、ちょい天然)が、ある電機メーカーに自社製品をPRしにいったときの、「笑い話だけど笑えない話」を例に、ジェンダーやジェンダーバイアスについて思ったことを書きました。
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ある日の、オフィスの自動販売機前にて
Nさんに話しかけられる。
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Nさん「こないだ、僕、●●社に製品PR行ったじゃないですか。若干やっちゃったかもな。ってことがあって(汗)」
私「先日は、お疲れ様でした。特に問題なかったと聞いてますけど?何かあったんですか?」
Nさん「PR会場に着いてからの朝礼で、現場の責任者から『本日は、●●社様の”副社長”が見学に来られます。アテンド員は失礼のないように!!』という伝達事項があったんですよ。」
私「そーだったんですか。副社長さんが。Nさんは、ご対応されたんですか?」
Nさん「それがですね。いつ来るのかと待ち構えていたんですよ。でも結局それらしき人は来なかったな~と思ったんですよね。その時は。」
私「その時は、来なかったと思った??」
Nさん「実は、副社長は、女性だったんですよ。僕、副社長はおっちゃんだと思い込んでいたんですね。そういえば、お客さんで大勢できて、中心にいてにこやかに見学されてた、きちんとした身なりの女性がいたんですけど、その人がそうだったみたいで。僕、『うちの製品手に取ってみてくださーい。ほら重いですよね?比重が高いから…』とかいってフランクに話しかけちゃいましたよ。へへ。」
私「(へへって。さすが天然だな。)副社長は、男性だと思っちゃったわけですね。まあ、うちの会社だったら、役員が女性とか考えられないですからね~。」
Nさん「絶対、おっちゃんか、じいちゃんだと思ったんですよ~。気になって、その副社長のことをネットで検索したんですよ。そしたら、すごい人で。世界的なピアニストであり、CDも出していたりして。」
私「マジすか。さすが●●社ですね。」
Nさん「今考えると、オーラありましたね~。部長クラスの取り巻きを引き連れてて。かっこよかったっす。」
私「かっこよかったですって…。(気付こうよ、その時点で。)」
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こんなやりとりでした。
さて、Nさんのことをどう思いますか?『天然だな~』『普通わかるだろ』『男社会だから仕方ない』こんな感想でしょうか。実は、私も仕方ないかなと思ってしまいました。
うちの会社は、戦前からある古い会社で(良く言えば歴史がある)、大企業ではない、零細企業ほどでもない、中くらいの規模の会社ですが、女性役員はおろか、生え抜きの女性管理職もいませんもん。うちだけでなく、一部大手メーカーを除き、工業という業界全体、今のところ圧倒的な男性中心社会です。
『会社の、偉い人は、男性。』
という刷り込み。こういった、性別によって役割を固定して考えてしまう、特に男性のほうが社会的に優位であると思い込んでいることを『ジェンダーバイアスがかかった状態』といいます。差別的な価値観です。
特に日本人は、バイアスが強くかかっていそうです。国連開発計画(UNDP)のジェンダー不平等指数(2018年)は110位。めちゃくちゃ不平等な国だと国連はみています。日本だけで完結した生活してると、あまり感じないかもしれないけど、男はこう、女はこうという固定した価値観を強く持っている人が多いということです。
もちろん、一人一人がその人らしく生きるためには、そういったバイアスはとっぱらったほうがいい。と私は思います。でもだからといって、急にとっぱらおうと思っても、無理だと思う。世界ランキング110位なんだから。まずは、ジェンダーという言葉に興味を持って、自分にはどんなバイアスがかかっているんだろう。と心を観察して意識するところから、はじめたら良いのではないかと思います。
自分に染みついた価値観に気が付くこと。誰かを傷つけるような言い方をしているかもと思ったら次からはしないこと。それなら、私たちにもできるこじゃないかな?
Nさんが、たまたま出向いた営業先での経験で気が付いたように。自分の身の回りで起こることに、もう少しだけ、これはやっちゃったかな?という視点を持って、注意を払っていきませんか?
いつか、Nさんとのやり取りが、日本昔話になる日が来ることを心から願って。そのためにできることを、少しづつ^^
ー終わりー