要約:「呪われた部分」(ジョルジュ・バタイユ)Part 3: 戦争の原因
今回は本の中の理論で戦争の原因を説明します。
言うまでもなく、戦争の原因はさまざまですが、「呪われた部分」によると戦争とは余剰を消費するための手段です。
勿論、バタイユさんは戦争が正しいと述べていません。
現代社会にとっては戦争はあまりにも望ましくありません。
しかし、Part 1で説明したように、いわゆる呪われた部分を意識的に安全に消費しないと、体系(社会)の絶滅を招きます。
つまり、呪われた部分を残すと戦争が可能であるわけです。
第一次世界大戦
第一世界大戦に参戦した国の経済はすごく発展しました。
つまり、余剰資源を持っていました。
その国々は呪われた部分を上手く消費しませんでしたから、軍需産業が大きくなりました。
つまり、「無意識に」軍需産業への投資しました。
もちろん、第一次世界大戦の原因はサラエボ事件なんですが、産業社会の呪われた部分が多かったからこそ、戦争の規模が大きかったのです。
バタイユの戦争予防対策
この本は1949年に出版されたので、バタイユの対策は今の情勢にどれだけ当てはまるかを考慮しないといけません。
1949年、アメリカが一番強い国になりました。(二番はソビエト連邦でした)。
バタイユによると、アメリカは余剰を世界の(再)発展のために捧げないと平和を保てません。
つまり、戦争を避けるのなら、全世界の生活水準が上がらないといけません。
そして、余剰を意識的に消費しないといけません。
バタイユ的な対策の裏側
現代社会はバタイユ的な対策をしているようにみえます。
イデオロギーと国家のイデオロギー装置の記事で述べましたが、社会という体系の最大な目的は現状(支配階級の優勢)を護ることです。
そのため、現代の消費主義経済とは多くの人の余剰エネルギーやお金を浪費させることです。
お酒・タバコ・AV・テレビ・ゲーム・SNS・嗜好品などはわれわれの余剰をとります。
(自分の場合はコーヒーです)。
多くの人が余剰を自分や家族の成長のために使用すると支配階級の優勢が崩れる可能性があります。
つまり、社会という体系を維持するために、一般人の呪われた部分を自己投資させないために出来るだけ浪費させるようになっているのです。