(12)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~
お手紙、つづきです。
「家にある本で、デジタル漬けになる前に『読む』習慣を」
・・・というお話をしています。
・お手紙(11)はこちらからどうぞ。
(11)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
今日は、
「ペアレンタルコントロールと同じくらい大切なこと」
というお話です。
シオリさん。「ペアレンタルコントロール」って、聞いたことありますか?
最近では、子どもの通う小学校から「ペアレンタルコントロールについて」というお手紙ももらうようになりました。
――もちろん、知っていますよね。
私たちが子育てについてあれこれお話していた10年前にはまだ浸透していなかった言葉ですが、今では子どもに端末に持たせる親としては当たり前とも言える知識・方法になっています。
けれども今、小学生の子ども2人を育てていて、私は思います。
ペアレンタルコントロールと同じくらい、大切なことがある。
それは、子どもにとって
ネットや動画視聴、ゲーム以外にも、好きなことがあること。
家で暇な時、デジタルがなくても楽しく過ごせること。
――これかなと思います。
あらためて確認すると、
ペアレンタルコントロールって、子どもがスマホやパソコンを使う時、有害サイトを閲覧したり、トラブルに巻き込まれたりしないように、親や保護者が使用制限をかけて管理すること・・・ですよね。
安心して端末を使ううえで必要なことですし、ネット依存や中毒を予防するための利用時間制限という意味もあると思います。
ただ、コントロールというのは受け手にとっては「制御される」「管理される」という意味ですから、これは子どもの主体的な意志ではありません。
ーーいえもちろん、子どもが主体的にスマホやパソコンを「年相応に」「安全に」使いこなすのは難しいので、親が規制をかけるのはいいんです。
そこには親、おとな達の「まちがった使い方をしてほしくない」
「長時間使ってほしくない」という願いが込められていますから・・・。
でも、主にネットやスマホ、ゲーム依存の予防に関して、たとえば「2時間までね」という時間制限を設けたとして・・・その後、子どもは家で何をするのでしょうか?
子どもがスマホやゲームに長時間触れるのは、主に「家にいて暇な時間」ですよね。
勉強も宿題も終わってしまったら?
出かける予定がなかったら?
長期休みに入ると、子どもがスマホやゲームばかりで困ってしまう・・・という親の声をよく聞きます。それまで特に時間制限を設けていなかった家庭も、今さら制限しづらい・・・という悩みが出てくると思います。
アニメや映画が好きな子もいるでしょう。部屋にテレビがあれば、それを見ることもできると思います。
けれどそういう子ばかりではないし、ずっとそればかりというわけにもいかないでしょう。
子どもにとって「スマホやゲームがいちばん好き」になるということは、「それをやめたらほかに(家では)楽しいことがない」ということと、ほぼ同じではないでしょうか?
それをやめたって、もしほかに楽しいことがあれば、子どもは生き生きと過ごすことができます。
私達おとなは本当は、子どもを叱りたいわけじゃない。
いつだって、笑顔をみたいのではないでしょうか。
それに関しての解決方法を、もっと考えていかなければならないのでは・・・と思います。
「やめなさい」だけでは、根本的な解決にはならない。
たとえば休みの日、親が在宅していれば一緒に何かをしたり、近場でも出かけてみたり、公園遊びを勧めたり・・・という話もよく聞くのですが、それにも限界がありますよね。
ーーすごくよくわかります。
我が家も、いろんなことをセットにして日々を過ごしていますから・・・。
親がいつでも関われるわけじゃない、というよりそれが難しいから、親の悩みは結局、子どもが家にいる時にどう有意義に過ごしてもらうか・・・に戻っていくのではないかと思います。
メディアでは、
「どうしたらスマホやゲーム依存から子どもを守れるか」
「どうしたら長時間利用をやめさせられるか」
「事前のこういう約束が大切」・・・という情報やアドバイスをよく目にします。
それでも私は思います。
それと同じくらい大切なことはやっぱり・・・
「それ以外にも、好きなことがある」こと。
ーー私は、本を読んでほしいなぁと思います。
はい、やっぱりそこに行きつくんです。
家にたくさんの本があり、読みかけの本があり、欲しい本もあり、
読みかけの本がなくなったら図書館や書店に行く・・・子どもがそんなふうに時間を使えたらいいなぁと思います。
誰に押し付けられるでもなく、特別な知識を得るためではなく、自分をワクワクさせてくれる娯楽としての読書を、自由時間の選択肢として持っていること・・・。
それは、幸せなことだと思います。
心穏やかなことだと思います。
例えば工作や手芸などの物づくり、料理やお菓子づくり、パズルやブロック、オシャレやメイク、植物や動物などの研究・・・みたいに、すでに好きなことがある子はいいと思うんです。
けれどもそういうものが特にない子にとって、「本」は自分を楽しませてくれる可能性がとても高い選択肢だと伝えたい。
ーーだって読書は、誰にとっても優しい趣味・娯楽だからです。
私は子どもには特に物語や小説をお勧めしますが、それ以外にもあらゆるジャンルを包み込んでいるのが本の世界。
勉強やドリル関係ひとつとっても、今は楽しいものがたくさんありますし、音楽、動物や植物、旅行、アウトドア、料理、お仕事、建築、囲碁や将棋、パズル、自然環境、歴史、サイエンス、物作り、オシャレやメイク、お金や経済、哲学や生き方・・・
などなど、あらゆる興味に応えるだけの本が世の中には溢れています。それらをテーマにしたフィクションも、ノンフィクションもあります。
人類最大の幅広さを誇る娯楽のひとつが本だと思います。
読書は、ちょっと慣れれば誰でも気軽に楽しめる娯楽です。
ただ難しいのは、既にスマホやゲームにどっぷり漬かっている子どもに「本でも読んだら?」と提案するのはハードルが高いということ。
(「暇なら本でも読んでいて」というのは本来、すでに本が好きな子にこそ有効な言葉だと思うのです・・・)
スマホやゲームばかりじゃなくて本でも読んだら・・・というシチュエーションになっている時点で、子どもにとって読書が「代替案」になっていますし、親も子もいきなり図書館や書店に行っても、どの本ならおもしろいと感じられるのかがわからない・・・これではテンションが上がりませんよね。
もちろんここで、口コミなどで評判の本を選んで、「おもしろい!」とハマれば理想的ですし、そこから本との縁が結ばれるかもしれません。
ーーそんなことが起これば最高だなと思います。
子どもは可能性と感性のかたまり。
まだまだ、どんどん本のおもしろさに出会える時期。
だからこそ、スマホやゲームだけに夢中になって、大人に叱られて・・・というシチュエーションは、なんだかもったいないなぁと思うのです。
――だから、私は思います。
たくさんの子どもが、小さな頃から本の楽しさを知っていたら、より素敵だな・・・と。
そうしたら、子どもにとっても楽しい時間が増えますし、現代ならではの親の憂うつや悩みも少し減りますし、図書館や書店や本づくりに関わる人も嬉しいでしょうし、いいことばかり。
ーーペアレンタルコントロールと同じくらい、大切なこと・・・。
ネットや動画視聴、ゲーム以外にも、好きなことがあること。
家で暇な時、デジタルがなくても楽しく過ごせること。
お手紙、続きます。
〈文字を追いよろこびかなしみ胸に抱く スマホ以前に響けと願う〉
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(13)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
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(1)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
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