【読書感想文】滝川洋二編『理科読をはじめよう』岩波書店
2008年から三回にわたって開催された「科学読み物シンポジウム」を契機に、「科学の本を読む社会をつくろう」という思いを確かめあった、さまざまな現場からの12人の著者による、理科読のすすめ。父が理系の研究者で、もともと理系に進もうと思っていた私にとっては、懐かしいような、気恥ずかしいような、複雑な思いも抱かせられる読書だったが、今のロジカルな文体で書かれた、自然科学への愛のこもった文章は、門外漢にも新鮮だった。最近、娘も科学絵本や図鑑が気に入っている。そろそろ私も認識を改めなくてはならないかもしれない。数式さえなければ、結構私だってついていける、という思いもある。どうして子供心に抱いていた自然への憧憬を失ってしまったか。いまだに残念だ。