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【休職日記】『モアナと伝説の海2』感想文2025/2/6

船出する 使命片手に 貝胸に
共を募りて 友に押されて

 『モアナと伝説の海2』を観た。昨日ね、昨日。観終わる辺りから徐々に目を抉られているようになって、帰ってきたらすぐ寝てしまった。
 涙と鼻水は出るし、右目を抉り取りたいくらいの痛みが側頭部当たりまで続くしで、プチ群発型頭痛ではないかと睨んでいる。私はアルコールを全く摂取しないけれど、過集中の後に来ることが多い。過集中の後だと眼精疲労とか別ものの可能性もあるのかなあ。

 ともかくモアナ。まず、シメアがかわいい。なんだあれは。予告の時点でとんでもない破壊力を持っていたけど、本編も期待を裏切らなかった。もっちもち。「おねえたーん」も見事。吹替で観たけど、本物の子役だと思う。
 全くもってアニメーションは専門外だけど(胸張って専門と言えるのは自社製品だけなんだけど)、眉の動きが素晴らしい。モアナもシメアも他キャラクターも、みんなしっかり眉が動く。なんというか、浮いてなくて皮膚とか骨も感じられる。なんでかよくわかんないけど、今作はやたら眉毛が素敵だと思った。
 あとは海の描写。モアナに自信がある時、発見がある時、喜びにつながる時はすごく綺麗で美しい。透き通っていてやや青みがかっている。水色というより、水の色。すごく生き生きとしていて、モアナと海さんでコミュニケーションが取れるのに納得が行く。
 反対に、モロの近くで海さんが手伝えなくなったところでは、一気に暗い色になる。そんなセリフはないんだけど、「海が死んだ」と言いたくなるくらい。アニメーションとして海に命を宿しているから、物語に説得力が出ているんだと思う。

以下、しっかりめのネタバレを含みます。

▫️気になったところ

 ストーリーは「ああパート2だなあ」って感じ。決して悪くなくて、「目も当てられない」わけじゃない。ただ道中の行き当たりばったり感は、制作の行き当たりばったり感にも思えてしまった。もともと劇場公開用じゃなかったみたいだから、その辺にかけられる予算と時間がなかったんじゃなかろうか。

 ラストは蛇足。さっさと自由になったマタンギを出さない時点でわかってはいたけど、今作には必要なかった。3いるかなー?

 マウイに関しては、あれは、うーん。神性を失ったままor失わないままでも良かったような気がする。あれだといまいち神性が復活した理由がわからなくて。ヒロアカの継承よろしくモアナにバトンタッチして残り火で見送るのがベストだったようにも感じる。
 モアナはきっと半神として人々を見守っていくけど、そこにフルパワーのマウイがセットでいるべきかどうか。神性の弱まったマウイと新人モアナで頑張っていく感じが良かったんじゃないかな、なんて。マウイ好きなんだけど、前作と違って神様に直接力をもらったわけじゃないのがちょっと、納得感が足りなかった。

▫️好きところ

 ぱっと気になったネガティブ要素はそのくらい。『インサイド・ヘッド2』は個人的に大ヒットだったから、ディズニー(インサイドヘッドはディズニー/ピクサーだけど)は2を作るのが上手になったのかもしれない。
 前作で出た疑問、モアナも半神では?にある程度の回答がもらえたこと自体は嬉しい。ヘラクレスのポリネシアン版みたいな空気だったんだよな。

○音楽めちゃいい

 音楽もばりばりに楽しい。ぽりねしあーんって感じ。よくわかんないけど。魅惑のチキルーム&ポリネシアンレストランは、いずれモアナに取って代わられるかもしれない。あれはテーマパーク向きだと思う。あるいはもしカリブの海賊が「現代の価値観と合わないため〜」みたいな理由で中途半端に手を加えられるくらいなら、がっつりモアナで作り替えても良い。そのくらいジェットコースター映画の楽しさがあった。

○使命感に燃えるモアナ

 冒険心と危機感を頼りに出発した前作と比べて、今度は使命感で動いていた。もうほとんど成人として村を引っ張っていく覚悟がある。それどころか、村以外の人にも恵みを分け与える使命に目覚めている。なんたる利他主義。ご先祖様にみんないなくなった未来を見せられてはいるんだけど、危機より使命の旅だと感じた。
 旅の仲間が増えたのは責任を描写するため感が否めなかったけど、その描写は欲しかったからとんとん。実は海を繋げると他の民族に侵略される可能性が大いにあるんだけど、まあそれも神話ならいいじゃない。気にしたら負けだ。

 使命感と責任感、とにかく大人になった描写が目立つ。成し遂げられない不安にも、「みんなをここまで連れてきてしまった」責任がまとわりついてる。一人だったらもっと早く立ち直ってる。だから責任って持ちたくないんだけど、そうもいかないときがあるんだよね。きっと。モアナは随分若いのに背負い込んでる。
 これをどうにかできるのは、それでも使命に燃えるか、並走する仲間の支えか、「連れてきてしまった」みんな自身が自重を支えるか、たぶんどれか。モアナの場合はマウイが支えて使命を燃やして、最後はみんなも立ち上がってくれた。若半神様でタウタイのモアナはこれからもっと責任が降りかかってくるけど、ちゃんと向き合うんだろうなあ。

○責任取るって難しい

 この前「他人の責任負わずに他人と関わるなら、おもしろさは必要ですね」と言われてから、責任とおもしろさの関係を考えている。1/12に書いた週間日記を友人に見せて、ちょっとやりとりしたら言われたこと。

 うーん、責任を負わない=おもしろさが必要がまだわかんないんだよな。他の船乗りの責任をカバーするために、リーダー(船員)のおもしろさがいるかと言われれば、無くていい。というか、おもしろさだけだと結局一緒に乗る気にならない。
 他人との関わりで第一歩に求めてるのは、自立心なのかなと。さっきの3番目、「みんなが自重を支える」というやつ。なんかその、最低限自重を支えてもらって、そこからは責任も多少取るしおもしろい人なら積極的に乗せる(おもしろい人の船に乗る)かなって。
 責任はある/ないの2進数で、代用でおもしろさを求めることは難しいかなってのがいまのところ。だから自分の責任を持たない人と関わるのは難しい。自分で相手の責任を取るのもなかなか難しい。
 自分の責任を持ってる人におもしろさが加わると、積極的に関わろうとする。こんなところじゃないか。「他人の責任負わずに他人と関わるなら、おもしろさは必要ですね」がこのことを言っているのなら合ってる気はするけど、文脈的に違う気がする。

 難しくてよくわかんない。また考えます。


 モアナ、たぶんパークに進出するから映画館で観ておいた方がいい。

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