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FIREという愚行①
(※センセーショナルなタイトルに傷付けられた方には申し訳ありません。FIREを達成された個人を批判する意図はありませんのでご容赦下さい。)
はじめに
皆さんは、
生徒が「FIRE(Financial Independence Retire Early)を目指すんだ!」という志を持ったら、どう思うでしょうか?
資産所得で支出の全てをまかない、労働から解き放たれた悠々自適の生活は、まさに夢のようです。
ところがFIREには、公教育者として見過ごせない、致命的な欠点があるのです。
本日は、その考え方をシェアできればと思います。
労働の目的
現代の私たちは、労働の目的を、
「所得を得るため(=お金を稼ぐため)」
と考えてしまいがちです。
まず、ここではいったんそういうことにして、議論を進めてみることにしましょう。
そうすると、「お金が手に入るならば、労働する必要はない」ということになりますから、
「FIREは実に合理的である!」という結論が導かれるわけです。
手段(労働)をすっ飛ばして目的(お金)を得られるFIREの素晴らしさをお分かりいただいたところで、
そんな素晴らしいFIREを「皆が達成した世界」を想像してみましょう。
全員がFIREした世界
全人類がFIREに成功した世界。
そこは、誰一人として労働せず、全ての人が、株式などから得られる配当金などの資産所得で生活費の全てをまかなうユートピアなのです。
…皆さんもお気付きの通り、ここで、FIREの致命的な欠陥が浮き彫りになります。
そこでは誰も労働をしないのですから、いくらお金を持っていても、買える「生産物」が存在しないのです。
また、企業が生産活動をしていないのならば、一体どこから「配当金」が捻出されるのでしょうか?
すなわち、全員がFIREを達成する状況は、残念ながら起こり得ないのです。
そしてこのことから、人類にとっての「労働」の真の目的が見えてきます。
労働の真の目的
労働の真の目的とは、
「お金を得ること」ではなく、
「生産物を得ること」なのです。
…語り始めると、ついつい長くなってしまいました。今回はここまで。次回へ続きます。
お読みいただき、ありがとうございました。
(※以下、難解につき、読み飛ばし推奨)
ちなみに、実際には全人類がFIREを達成するに至る途中の段階で、ユートピア経済構想は破綻します。
消費は減らない一方で生産は減る一方ですから、いずれかの時点で需要に対して供給が追いつかなくなり、インフレーションに直面するからです。
貨幣価値が相対的に下落し、FIREの旨味がしだいに失われてしまうのです。
ですが、そのようなインフレ局面では「生産すれば必ず売れる」わけですから、まともな理性を持つ者がさっさと生産側に回り、需給ギャップを埋めて、従来の経済を取り戻してしまうことでしょう。