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読書記録:週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。2 (GA文庫) 著 蒼機純

【星屑流れる空の下、テントの中で、芽生えた想いは重なって】


【あらすじ】

「キャンプしてるんだよね、君と。こんな遠くで」

超インドアオタクな黒山香月はアウトドアオタクの四海道先輩に誘われたキャンプで、その魅力に打ちのめされる。

その魅惑から、次のキャンプも計画した結果。

「お邪魔します。あ、黒山君」

電撃的な四海道先輩の自宅への来訪に困惑する香月。
妹のアシストのおかげで、黒山家の外堀も着実に埋まっていく。

一方、先輩との交流がターニングポイントとなり、学校生活も一変していく。
根暗だった香月の交友関係が広がって、同じ図書委員の仲間である、彩愛や剛、土井先生と休日にBBQする偉業を達成する。

インドアな香月を連れ出して、新しい景色を見せてくれる四海道先輩に惹かれていく香月。

恩を返す為、文香と少し遠出する為に、アルバイトに精を出す香月。

そして、念願の先輩と一緒にキャンプ旅行へと繰り出す。
今回のテーマは、星に手が届くと噂のキャンプ場へと向かう事になる。

あらすじ要約
登場人物紹介

インドアな香月は、アウトドア派の文香のおかげで、キャンプの魅力に取り憑かれ、今度は北海道、富良野に足を運ぶ物語。


休みの使い方は人それぞれであろう。
一人で悠々自適に家でくつろぎたい者もいるし、気心知れた仲間と、ぱぁと外で遊んで発散したい者も゙いる。

確かに一つに言えるのは、真逆の性質を持つ者を遊びに誘うには、かなりの労力と手間を必要とする事で。
ただ、見目麗しい年上の異性と過ごすひと時は、鮮烈な体験として、香月の心に深く刻まれる。
出不精な香月にとって、事前準備で色々と段階を踏まなければならないキャンプは確かに面倒だったけど。
予定通りに進まない計画には、悶々とさせられもするけれど。

想定外の出来事は旅先でのスパイスとなり得るし。
その労力を補い余る程の、素敵な夏の想い出が燦然と輝く。
文香のバイクにタンデムさせてもらって。
見知らぬ土地である、旭川でのラーメン屋を探しながら、観光を楽しんだり。
仲間と共にBBQをしたり、アウトドアの醍醐味と言える、外で食べるカップラーメンに舌鼓を打ったり。
富良野で天体観測しながら、流れる星に想いを馳せたり。
そんな新鮮な道中の半ばで、香月の不用意な一言が、不意に文香の心と表情を曇らせてしまう。

嫌でも自覚させられるのは、二人の年の差。
不器用な文香と過ごす終わりを迎える夏に哀愁と切なさを伴う中で。
長い夜を共に過ごした彼らは新たな関係へと至る。

新しい趣味が増やす事は、自分の世界を拡張してくれる事だから。
単調な人生は生きていく程に、色濃い影になる物だから、自分で新たな刺激を取り入れて、自分で自分の生活を楽しませないといけない。
興味を持ったのなら、一度試してみる。
実際にやってみないと分からない事があるし、やらずに後悔するのはもったいない。
新しい事に挑戦する冒険心は、いくつになっても失ってはならない。

それを教えてくれた四海道先輩との関係も高校生活が終わってしまえば、自動的に絶たれる。
こんなに素敵な『時間の共有』も出来なくなってしまう。
せっかく、一期一会の関係が実を結んだというのに。
一足先に卒業してしまう四海道先輩。
二人だけの時間は少しずつだが、着実に終わりへと向かっている。

そして、香月が成長していく先に、自分はいられない事を文香も分かっている。
通う学校、勤める会社が違えば、必然的に接する時間も減ってしまうという当たり前の摂理に苦悩する。
しかし、裏を返せば、そんな当たり前を悩めるだけのまっとうな青春を送れてこれた幸せもあるのだと実感する。

満天の星屑が流れる中で、文香はサプライズで誕生日プレゼントを送る。
そこには封入されていた、とあるメッセージ。
それに心を動かされた香月の切実な告白を受けて。
自分の中で、淡い恋心が揺れている事を自覚した文香。

年の差なんて関係ない。
これからも、ずっと一緒にキャンプに出かけて、ドキドキした感動を分かち合いたい。
これからも一緒にいられるように、流れ星に願う二人だけの未来。
幾度、年を重ねたとしても、この想いを共に積み重ねて行きたい。
香月の発露した真っ直ぐな想いを受けて、自身の隠し持った気持ちに素直になれた文香。 
二人で心の距離を近付けて、力を合わせて。
こんなに遠い場所まで一緒にやって来れた。
きっと、二人でなら年の差など些末な問題は乗り越えていける。

互いの価値観を尊重し合える仲なのだ。
こんなに想いを重ねる事は別の人とは出来ない。
文香が卒業しても、一緒に楽しめるキャンプは続けて行きたいと率直に思う香月。
普段とは違う異郷の地で、テントの中で共に繋がる想いを大切に抱えて。

流れ星に願いながら、香月と文香は新たな試練を前に、共にいる為の決意を誓い合うのだ。








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