えびし

好きな事に全力で向き合って、素敵な文章に触れたい。 本を通して、己を改革して、他人の気持ちを知って、自分にとっての最高の人生を送りたいです。 よろしくお願い致します。

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最近の記事

読書記録:神様の御用人8 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

【神は案山子のように絶えず移り変わる世界を眺めている】 神として、現役の引退を考える久延毘古命は、良彦の打開の作戦として家電量販店に連れていかれ、四国の徳島では金長大明神には阿波狸合戦の諸説を集め、八幡大神には似顔絵を依頼される物語。 日本人は八百万の神としてどんな物にも神を宿してきた。 物を大切にする奥ゆかしさが、国民性として顕著に現れているのだろう。 祀られた神はどれも等しく尊くて、そこに優劣の差は無い。 そして、神もまた、豪華な供物であったり、華美な献饌などで人を贔

    • 読書記録:記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい (MF文庫J) 著 御宮ゆう

      【かつての自分を全て喪失して、今の自分に出来る事を模索する】 事故に遭って記憶を失った少年が、自らの彼女を名乗る少女達と共に過去の背景を探る物語。 記憶はその人を形作る上では、なくてはならないもの。 それが一からリセットするという事は、赤ん坊からまた新しい人生を始め直す事と同じである。 その状況を吉にするか、凶とするのか、その人の捉え方次第。 周囲の人達に心配されながらも、自分を新しくやり直す機会だと思えば、前向きに捉える事も出来る。 記憶を喪失するという事は、積み上げ

      • 読書記録:未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2 (MF文庫J) 著 ニャンコの穴

        【変わらない過去に縛られないで、未来に宝物を残そう】 未来から遡行してきた冬花の目的である、姉の夏美に対する後悔を白馬が全力で解決する物語。 死とは誰にでも避ける事が出来ない宿命である。 それが早いか遅いかの違いで。 いつか、誰にでも平等に訪れるもの。 そして、過ぎた過去はどんなに悔やんでも、元には戻らない。 仮に自分のこの先の未来が分かったとしても、現実がその通りになるとは限らない。 むしろ、世界は天の邪鬼であり、未来を知る者ほど、その未来へ辿り着かせない、運命力を発動

        • 読書記録:神様の御用人7 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          【瑠璃の満月に晒される時、葬られた記憶がつまびらかとなる】 太陽を司る天照大御神、夜を司る月読命、生命を司る須佐之男命。三貴子の秘密が明かされ、竹取物語との接点が垣間見える物語。 人であっても、神様であっても、自分にとって都合の悪い事は忘れてしまっていたい。 ましてや、自分が失敗した過去や犯した過ちなどは出来れば目を伏せてなかった事にしたい。 しかし、実際になかった事にはならない。 忘れようと努めれば、努めるほどに心にしこりが残る。 そういった記憶は、季節や状況が重なるほ

        • 読書記録:神様の御用人8 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

        • 読書記録:記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい (MF文庫J) 著 御宮ゆう

        • 読書記録:未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2 (MF文庫J) 著 ニャンコの穴

        • 読書記録:神様の御用人7 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          読書記録:神様の御用人6 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

          【親愛なる家族を想う心、後悔と郷愁に彩られた故郷】 孝太郎に同乗して東京へ訪れた良彦達は、大手町の怨霊と邂逅し、三女神の過去が千年の時を経て蘇る物語。 枝葉末節という言葉がある。 どんなに大きな大樹であっても、先端には枝や葉っぱがあって、そういった末端が光合成して、新陳代謝を繰り返す。 それらがあるからこそ、四季に芽吹く命もあれば、散り落ちる命もある。 自らのルーツを辿れば、親から祖父母といった、その家系ならではの歴史とロマンが詰め込まれている。 だから、時に血縁のある旧

          読書記録:神様の御用人6 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

          読書記録:神様の御用人5 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

          【親しき仲にも礼儀あり、神も人もそれは変わらぬ】 様々な神の依頼を達成した良彦は、御用人本採用となる。次は夫婦神の板挟みを解決すべく九州に遠征する物語。 生者の信仰が弱まれば、神は力を失ってしまう。 眼には見えないものほど、大切に意識してあげないと、それはどんどんと国を守ってあげようという気持ちがなくなってしまう。 見えないからといって、そこにいない訳ではない。見えないからといって、ぞんざいに扱って良い理由にはならない。 神にとって、信仰心のない人の子とは、舞い散る木の葉

          読書記録:神様の御用人5 (メディアワークス文庫) 著浅葉 なつ

          読書記録:蜜蜂と遠雷(幻冬舎) 著 恩田陸

          【さぁ、音楽の神様に愛されて始めよう、僕達の音楽を】  芳ヶ江国際ピアノコンクールが開催され、努力家のマサル、栄光に縛られる亜夜、天才の塵。多種多様な選手と頂点を競う物語。 音楽を生業とする上で必要なタレント。 芸術などに対する先天的な才能を指すが、努力によって開花するというニュアンスもある。 一方、ギフトとは天から授けられた才能、すなわち天分で、努力を必要としないものである。 一般人が才能を開花させるにはタレントを追求するしかない。 しかし、極稀にギフトだけで事足りてし

          読書記録:蜜蜂と遠雷(幻冬舎) 著 恩田陸

          読書記録:僕らの春は稲妻のように (MF文庫J) 著 鏡遊

          【その恋は春雷のような速度で、僕の心を繋ぎ止める】 やんごとなき名家に産まれた少年が、猛スピードで生きる少女に見初められ、電光石火の如く恋愛イベントを消化する物語。 思い立ったが吉日という言葉がある。 そして、「時間」という物は誰に対しても平等であり、その二十四時間をどう使うかは、その人次第である。 やりたい事を、明日やろうと先延ばしにする程に、悪い運命へと傾いていく。 思い立ったらすぐ、さっと行う。 そうやって、即断即決するのが、物事を上手く行かせる秘訣である。 正しい

          読書記録:僕らの春は稲妻のように (MF文庫J) 著 鏡遊

          読書記録:神様の御用人4 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          【簪の鈴の音が風に揺れる時、埋もれた記憶が蘇る】 紀伊国造の祖、天道根命は毎夜、夢枕に現れる簪を付けた女性を探して欲しいと御用し、良彦達はその歴史が埋もれる和歌山へと向かう物語。   日本という国に産まれたならば、神様を祀る事は先祖を敬う事と同じである。 神様とは、極論言ってしまえば、誰かのご先祖様。 そして、祀るという事は、何も憧れたり、祈ったりする行為ではない。 ただ、そこに居てくれた事。 そこで生きていてくれた事で、今の自分がある事を忘れない事。 その意識付けをする

          読書記録:神様の御用人4 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          読書記録:ミミクリー・ガールズII (電撃文庫) 著ひたき

          【大人の都合で子供達が涙を流す未来を全力で変えたい】 狙われた冬季札幌五輪を舞台に、極東連合との合同首脳会談に臨むクリス達が大暴れする物語。 和気藹々とキャッキャウフフなノリで少女としての青春を楽しむクリスやマーリン。 しかし、その中身は煙草と酒と硝煙が似合う渋いおっさんである。 大人だからこそ、子供達より長く人生を歩んできて、学んできた教訓と経験がある。 世界は子供達が考えているほどに、美しく清らかなものではなく。 自らが得をする為に、他者を蹴落として貶める、醜い弱肉強

          読書記録:ミミクリー・ガールズII (電撃文庫) 著ひたき

          読書記録:神様の御用人2 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          【神も人も元を正せば一体で、世俗に塗れた苦悩も心ゆえに生まれる】 名湯探しに家探し、井戸からの脱出、夫の浮気癖を治すといった神の願いを聞き届ける良彦の元に、官司の娘である穂乃香が現れる物語。  日本にはあらゆるものに神が宿る、八百万の神々の信仰が根付いている。 昔の人は、物を大切に丁寧に扱っていた。 壊れたならば、出来るだけ補修を繰り返して、捨てる事なく、長く大切に使い続ける。 その想いと情に魂が宿る。 それこそが、日本人の奥ゆかしい美的価値観であった。 しかし、時代と

          読書記録:神様の御用人2 (メディアワークス文庫) 著 浅葉なつ

          読書記録:アンデッドガール・マーダーファルス 3 (講談社タイガ) 著 青崎 有吾

          【夜明け前の怪物は豹変する、群れに潜む狼を看破せよ】 南ドイツの僻地の里に潜む人狼を炙り出す為に鴉夜達と夜宴とロイズが三つ巴を繰り広げる物語。 狭いコミュニティでは、昔からのしきたりや権威ある者に従う事が正義だと肯定される。 弱者や力を持たない者は盲目的にその教えを守るしかない。 それが自らが、この先も生き延びる術であるから。 しかし、弱者にも反骨精神があり、面従腹背を心に抱えつつ。 力を持たない、沢山の群れの羊の、取るに足らない一匹を装いながら。 いつか、強者に牙を立て

          読書記録:アンデッドガール・マーダーファルス 3 (講談社タイガ) 著 青崎 有吾

          読書記録:高嶺の花には逆らえない (3) (ガガガ文庫)著冬条一

          【初恋の花は儚く散ったが、新しき蕾が芽吹く瞬間を逃すな】 夏祭りに一世一代の告白をした物の敢え無く玉砕した葉は、あいりとの関係が疎遠になるが、桃花の協力で、彼女の家に訪問する物語。 恋って何だろう? 好きって何だろう? 考えれば考えるほど、袋小路に行き詰まって答えが出ない。 自分の事を想ってくれる人が複数いた場合、自分にとっての最愛を選ばなければならない。 何かを選ぶという事は、何かを切り捨てるという事。 優しい人間ほど、選ばれなかった者の気持ちを想像してしまい、決断力が

          読書記録:高嶺の花には逆らえない (3) (ガガガ文庫)著冬条一

          読書記録:高嶺の花には逆らえない (2) (ガガガ文庫) 著 冬条一

          【恋の花火に彩られて、少女は夏と共にベールを脱ぐ】 特別な夏にすべく葉はファミレスでバイトを始める中、あいりが暗躍して千鶴がダイエットの集大成を見せる物語。 夏は、いい意味でも悪い意味でも人を変えていく。 人の心は変わっていく、それが普通な事であり、悪い事ではない。 気温が上昇すると共に鼓動が高鳴って、一念発起して何か挑戦してみたくなる。 特に、夏休み明けの同級生が一気に垢抜けてイメチェンを果たしていると、驚く事だってある。 そうやって、夏は人を変えるきっかけを与えるのだ

          読書記録:高嶺の花には逆らえない (2) (ガガガ文庫) 著 冬条一

          読者記録: 破局 (河出書房新社) 著 遠野遥

          【社会模範に則った自分のルールに縛られて破滅する】 慶應大学に通う陽介は、公務員を目指して、OBとしてラグビーのコーチをして己の鍛錬も続けるが、麻衣子と灯に出逢う事で、いつしか爛れた性に溺れていく物語。 自分を形作る上で、絶対に揺らいではいけない価値観と信念が人にはあると思う。 それがあるからこそ、人は雑多で不確かな価値観が溢れた世界でも、己を保つ事が出来る。 それはある種、本来の自分を自らの思い描く理想へと型をはめる行為。 しかし、もしその理想像が、自らが犯した失敗で壊

          読者記録: 破局 (河出書房新社) 著 遠野遥

          読書記録:ユリゴコロ (双葉文庫) 著 沼田まほかる

          【暗黒の世界で見つけた拠り所、それは深い愛を伴う】 婚約者の千絵が失踪したり、父が末期の膵臓癌になったり、母を事故で喪った亮介が一冊の書記を見つける事で、殺人鬼の半生が浮き彫りとなる物語。 「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」 かの有名な哲学者であるニーチェの言葉である。 人は自分の暗がりと対峙し続けていると、その醜い欲望に知らないうちに呑み込まれてしまう。 醜い欲望とは、自分がしたい本能であり、それに流されてしまうのは、正直に言えば、楽な生き方である。

          読書記録:ユリゴコロ (双葉文庫) 著 沼田まほかる