読書記録:スパイ教室08 《草原》のサラ (ファンタジア文庫) 著 竹町
【たとえ弱者でもこれだけの縁に恵まれた強さがある】
CIMの裏切り者を炙り出した「灯」。しかし、チームは半壊。絶望下にある中、サラがとある奇策を打ち出す事で、因縁の白蜘蛛との決着が付く物語。
サラが見つけた到達点。
それは、己のスパイとしての理想を見つける事。
その障壁となる白蜘蛛を倒し、大切なモニカを救う決意。
その裏では、白蜘蛛が暁闇計画を樹立する為に暗躍する。
彼の陰湿な罠に陥る「灯」。
それでも、己の可能性を諦めない。
自分を強者と思い込めるサラの覚悟。
『鳳』を蘇させる奇策と共に。
『鳳』を蘇らせる秘策を思いついたサラは生き残りのラン、バーナードをキーマンとして死者を出さない「灯」の守護者を目指す。
必要だったのは、劣等感を凌駕するほどの対抗心。
再び、裏で蠢く白蜘蛛の策動、その表で駆ける『鳳』復活の噂。
組織と組織。
チームとチーム。
複雑怪奇な階層化がなされるスパイ達の仲間意識と技術の継承の果てに見出す原点回帰。
絶体絶命の窮地でどんでん返しの切り札をさらけ出す。
弱者だからこそ、徹底的に自分を省みて、その中から自分の出来る最善策を模索する。
今まで生きてきた中で、積み上げてきた仲間との縁。
サラは力が弱いが、気持ちだけは誰にも負けない強さを自覚する。
強大な敵を相手にする絶望的な状況でも、戦う理由を見出して、絶対に諦めない可能性が、まだ自分には残されている。
圧倒的強者である白蜘蛛の裏をかく事。
誰が裏切り者で誰が味方なのか。
虚実は入り交じり、正義と悪が容易に入れ替わる。
疑心暗鬼を越えた本物の仲間との連携。
フェイクの連発によって、真実と嘘が錯綜する中で、見事なまでの逆転劇を果たす。
騙し合いの化かし合いで勝利をもぎとる。
そして、死に際の白蜘蛛が語った『蛇』が如何にして作る経緯になったのか?
『蛇』成立の背景や目的が明らかとなる。
それは、「炯眼」の正体にも付随して。
そこには、世界恐慌と第二次世界大戦の影響が密接に関わっていた。
戦いの果てに、明かされるは謎の名称「虹螢」と世界の存亡の危機。
取り戻した筈の歴史が瓦解して、新たな世界線が産声を上げる。
倒しきれなかった脅威が世界にどのような影響を及ぼすのか?
果たして〈暁闇計画〉とは一体、何を示唆する物なのか?
白蜘蛛との決着が新たなミッションを手繰り寄せるのだ。
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