難しそうなヘーゲル哲学の初歩の初歩?
「ヘーゲル哲学に学ぶ考え抜く力」(川瀬和也 著) 光文社新書
本屋さんで物色していて、何となく買ったのですがヒットでした!もともと哲学に少し興味があったのですが本格的なものは難しく手が出ない中でしたが、本書はビジネスパーソン向けで専門的な用語も少なく、とてもわかりやすかったです。といってもこの本のテーマは『考えぬく』という事なので、言葉はわかり易いのですが内容は確かに考えさせられました。全6章ある中で、少し抜き出して私なりに紹介してみます。
「存在」を考え抜く
「この本は存在するか?」という問いは、余りに馬鹿げたように聞こえるかもしれませんが、では、存在するとは何か?と聞かれたらとっさには答えられません。これについて”白い消しゴム”を例にして、この消しゴムの構成要素(白っていう色とか、形とか)から考える<個物>としての消しゴムと、<普遍>的な消しゴムがあるのか、の話が繰り広げられます。
作者は”存在するとはどういうことか”をヘーゲルの言葉「現存在とは規定された存在である」を紹介しながら、この厄介な問いの持つ意味を説明してくれます。
この問いに対して”区別”される=”存在”という説明があり、最後にはビジネス向けに”ターゲット”として存在論とマーケティングとして例示してくれます。
「本質」を考え抜く
いま、こうして書いていると「存在」と関連しそうではあるのですが、作者はこの問いに対して”本質”⇔”現れ”という言葉で説明します。私なりの解釈では、目の前に現れている事象の奥には本質がある、ただしそれは1つではないし、イコールでもない、という事だと思います。人には様々な顔があるように、現れているものはイチブに過ぎない、本質はなかなか掴みにくい。
(かなり横道にそれますが、B'zの”イチブトゼンブ”の歌詞が浮かびました)
ここでは、この掴みにくい”本質”に対するどっちつかず戦略が紹介されています。私にはどっちつかず戦略というより、安易に決めつけない、という事の方がしっくりきました。
最後に
私自身、ビジネスパーソンとして考える事の大切さを身に染みています。この本の最後にあった言葉は激しく納得です。
人間とは何か、自由とは何か・・(中略)・・こうした思考を続ける事は決して快適な事ではない、むしろ考えれば考えるほど足下が不安定になるような不快な感覚に襲われるだろう。それでも、そこから逃げることは許されない。思考する事の不快さに辛抱強く耐えて考え抜くことによってしか、私たちは前に進むことができないのである。(P257,258)
今回は以上になります、読んでいただきありがとうございました。