イアン・ジョージ

すぐに終わった瞬間 刹那

イアン・ジョージ

すぐに終わった瞬間 刹那

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書いたことすら忘れていた詩

「こんにちは、おチビちゃん。こんなところに迷い込んで災難だったね」 「え?ここはどこなの?」 「そんなに震えなくても大丈夫。知ってるはずだよ、君を覚えてる。」 「僕を?」 「そうさ、何度もここへ来てるじゃないか」 「きっと人違いだ」 「いつもそう言うね、懲りない君だ」 「本当に知らないよ。早く帰りたいんだ、道を教えて。」 「どこへの?」 「どこって、元居た場所さ」 「ならどこへも行く必要はないね」 「どうして」 「私にとっては君の元いた場所はここさ」

    • 呪い殺される前に

      「思い出」と言われるものが好き。 映画の半券や、小さなハンカチ、チェキ、「絶対似合うと思って!」と貰った赤リップ、その小さな過去の分霊箱は、棚と壁の隙間に落ちてホコリを被っても尚美しい。 思い出は私に語りかけたりとか都合の良いことはしないけど、ただ他でもない私の為だけに存在し続けて、時に輝きとなって再会する。 それを私達は大切に、大切に、自分の一部として抱え身に纏いながら未来へ入っていく。 幼い頃走った草の匂い、開いて直ぐに消えた花火、あの子と喧嘩して殴られた痛み、殴った時の

      • 長いながい糸

        私の五体には 南の島の豊かな自然と、喧騒の摩天楼が共存している。 穏やかな潮の香りと、通り過ぎるメトロの轟音 平原を走る馬の背で触れた風と、雨を反射する通りの光 それと少しの、貴方の言葉。 それら全てが 貴方を惑わせてしまうでしょうか 分かりやすい人が お好きなのでしょうが 生憎 私は、ゼロで生まれた時から 笑えるくらいややこしい。 貴方が名前を呼んでくれる その 唯一の欠点は 貴方と私が 遠く離れた存在だと 分かってしまうことです。 自分を美しいと

        • ここは地獄

          日が昇って暫くしてから8回目、スマホのアラームでようやく意識が覚醒して、ろくな朝飯を食ったり食わなかったりして一日を始めて、みんな日々生きている訳だけど、良い人間であろうとしてる事を時々思い出すくらいで、後はそれぞれの正義で世界を見ているから、まあ自分が善人か悪人かなんて正直分からんスね。 よく知らないのに目に付く誰かを批判する時自分の事は棚に上げるし、明らかに悪いことしてても身内が他人に陰口叩かれてたらちょっと擁護しちゃう。感情をコントロールして生きるのには才能か洗脳が必

        書いたことすら忘れていた詩

          夢を、みたの。

          苦しくて堪らない事がある。 夢を見て生きることと、それでもこの世界に目を見張ること。 知らない事を知るのが大好きで、宇宙の仕組みから、あなたの好きな犬の種類まで、もし教えてくれるなら、知りたくてしょうがない。 世界は「え、なんで???」で溢れている。 「単純そうに見えて、ミステリアスで複雑なんです」みたいな顔が愛しい。 幼い頃から異常に湧き出る疑問や知的好奇心を家族に話しては困らせ、適当に笑って流された。←お陰で今では立派なヒステリークイーンです💋 ただ時に、この世界の美

          変わってしまったかいマイフレンド

          古い友に久しく会う時、相変わらずに居てくれるととても嬉しい。正直有難い🙏🏽🙏🏽🙏🏽 私の知っているあの人が残っていると安心するし、私はまだこの人の友だと思える。 懐かしい話をして、最近の話をして、これからの事を自信なさげに少し話して、その刹那、毛先を弄る癖や、パスタを丁寧に巻いて口に運ぶ姿や、笑い方にその人を感じる。あの頃を盗み見る。 それだから、やっぱり寂しくなるなぁ。 そんな事考えるようになったんだ、話してた幸せとは離れた場所を選んだんだ、そういう服を着るようになったんだ

          変わってしまったかいマイフレンド

          悲しみのような恵み。

          雨が降ってた。 空気は湿って、窓は濡れて、空が曇っていた。 雨はよく悲しいことの例えに使われる。恵みなのに。粒がガラスやコンクリートや草木に当たって弾ける、その小さな音で自分は大きなモノに囲まれて暮らしているんだと自覚する。そこに何かが確かにある事を音を通して初めて知る感覚。人が受け取る情報の8割は視覚だけど、その情報が確信に変わるのは残りの2割の部分があるから。 雨が降ってる、窓を叩く雨粒の音、コンクリートから甘い匂い、髪が濡れる、なんか汚いガスとか混じってそうだから上向い

          悲しみのような恵み。

          はじめまして、出逢う前のあなた。

          私はZ世代、スマホ依存症、エモ快楽中毒、仮想現実由来の統合失調症、沈黙の世代。 バイト先で使っている手のひらサイズのメモ帳をポケットから出して机に置いた時、脳死で表紙を指で一回タップした。 ふと思いついた詩を書き留めようと思ったのに、その条件反射がやけに悲しくて、せっかく思い付いた詩も嘘になったような気がして書かなかった。(今まで書き留めてきた詩が全部本当な訳でもないだろうに。) そんで結局スマホを開いてこんな文をフリック入力してる。どうしようもねえ。 社会というあだ名の匿名

          はじめまして、出逢う前のあなた。

          話せばながい空の広さ

          東京の空は狭いとよく聞くが、私にとってはとても広い。それはもうだだっ広い。 入学したばかりの頃の中学校の校舎より広い。 どれだけのものなのか本当に知ってるの?その例え合ってるの?カッコつけてない?って言われたら、「ぇ、いや、別に...ていうか、その...ゴニョゴニョ」ってなるよ。それはあんたが優しくないだけ。やめて。 でも私は私なりに空の広さを知ってる。 私が産まれたのはオーストラリア クイーンズランド州 ケアンズ とても住みやすくて、南半球なので一年中暖かい。海も近い

          話せばながい空の広さ

          あいの惑星

          人に優しくする事はどんなに無償だとしても、回り回って自分の為にしているに過ぎない。 そんな斜に構えた考え方がいくら浮かぼうが、誰に対しても柔らかく暖かい人で居たいと思うのは愛という魔法じみて曖昧な概念が持つ力を信じて止まないからだと思う。 愛じゃご飯は食べられないし、誰かからの、又は誰かへの愛を言葉にしてしまえば一気に陳腐なプロモーションに成り下がる気がするから、概念の枠から外して形にする事に意味を感じられない時がある。 でも、それでも愛の歌を聴くし、愛の詩や絵に涙するし、愛

          鳥ほどの脳みそで思う事。

          詩じゃなくて文章。 フリーターになってからやけにスラスラ書けるから、noteにも書いちゃうっ。今、超躁✩.*˚ 表現がしたい。何かを作っていたい。 そんな事を意識的に思いながら絵を描いて、歌を歌うようになったのはいつからだろう。 幼い頃は、それら全ては口で話すのとさほど変わらなかった。なんなら、ただでさえ饒舌な私が、言語を超えた何らかの形で更に喋り倒して居られる事がちょっと心地良い程度で、口で喋って、絵に書いて、そこからまた口で喋って、飽きてきたら歌いながら喋ってた。 小さ

          鳥ほどの脳みそで思う事。

          冷たい詩、もしくは優しさ。

          私は割と 冷たい人間なので もし貴方が落ち込んでいたら 泣いていたら 軽率に肩を貸して 慰めて 甘やかします。 貴方が誰かなんて よく分からないまま、 貴方がどうするべきかなんて わざわざ言わずに、 ただ ただ 今だけは誰かの所為にさせてあげます。 じっと見詰めれば 悪い所と同じだけ 良い所なんて 山ほど出てきます。 それを目に付いた順に音読してるだけ。 間に挟まる 句読点のような例外を飛ばして。 だからお礼なんて言わないでいい、 時間なんて別に、好

          冷たい詩、もしくは優しさ。

          踊れ、私の悲しみ。

          心が壊れそうな夜 誰かの歌を聞いてしまったら、 誰かの物になってしまいそうで、 私だけの歌が必要で 私だけの詩が大切で 誰かの一瞬に頼るのは、 私だけの歌、じゃないかも。 偶に 貴方のものになって欲しいなんて思う 貴方が歌ってくれたなら 重い腰が 軽快にステップを伸ばすだろう。 あまりに滑稽な私をみて 笑ってしまって歌えなくなる貴方。 恥ずかしくなって止まったなら 私がまだまだな証。 それで嬉しいなら 私が貴方を愛している証。

          踊れ、私の悲しみ。

          どこを見ても奴が居る。

          可愛い人に惹かれる事は全然ない。 私を惹き付けるのはいつも 憎たらしくて嫌な奴。 手に入るようなものじゃなく 勝手に離れていくようなものじゃなく 只者じゃなく そんな奴の優しさは 気付けるかどうかだった。 優しく受け取れるかどうかなんて分からない。 誰しも 自分ですら気づかない美しさを持っている。 「知らないんでしょう」 と、笑う。 私を褒めてくれるのは、叱ってくれるのは、 期待させてくれるのは、懲らしめてくれるのは 教えてくれるのは、誰よりも先に彼奴

          どこを見ても奴が居る。

          PIELES

          誰より素敵な 貴方に逢う度 貴方のようじゃない 私を嘆く そんなんだから 貴方は振り向いてくれない 貴方に都度 言うように 私は素敵だと言えたら 醜い隠し事 1つ 無くなった時 目がなくても 鼻がなくても 聞こえなくても 味気なくても はっきり分かる 薄い皮膚の 奥に居る 貴方に触らせて

          なにを抱こう

          言葉を探している。 私達が生きながらえている奇跡を表す言葉を。 この空の、見えない先の色を見ようとして。 社会の規範に尊厳を抱き 時代を牽引し 逞しく 喧騒の渦中で 営みに勤しむ人達からすれば、 私なんてものは 風に乗っかるポリ袋のように 中身の無い、なんともか弱いものだろう。 全く仕方の無い事で、私には充分過ぎるのだ。 日々続いていく勤しみの中、 目覚めの朝、瞳孔を指す陽の光 絶えずこの胸に流れ込む、木々の吐息 分厚い雲の上で、今も空は美しく広がっ