【みちらん38】棚田世界のアイコン的存在 ~通潤橋・五老ヶ滝周回路~
通潤橋が熊本地震で被災、修復工事の途上に大雨でまたも石垣が崩壊と、この周回路は4年近く閉鎖されていましたが、幾多の試練を乗り越え2020年7月から通行出来るようになりました。
2023年9月通潤橋の国宝指定のニュースが飛び込んで来たので追記しました。地元山都町の皆さんおめでとうございます!
橋の国宝指定は全国で初めての快挙。それに何といっても、今だ現役で活躍中という点が素晴らしいの一言。
通潤橋は水を渡すための橋
一番の見どころは通潤橋。石橋のほとんどが九州、とくに大分県と熊本県に分布(長崎県は数は少ないが、古いものが多い)しているそうですが、通潤橋は長さ75.6m高さ20.2m、国内最大級の石造一連アーチ橋です。
均整のとれたアーチにとかく目が行きがちですが、その出自にも注目です。
嘉永7年(1854)布田保之助らが尽力し、水に乏しい白糸台地に水を送るために架けられた通水橋だということ。橋を渡るのは人や馬ではなく、水。なので橋には、今も手すりや欄干がついていません。
しかも橋の高さが送水先の台地よりも低いため、逆サイフォンの原理を利用して用水を押し上げるという仕掛けが組み込まれている。
観光の目玉にもなっている放水も、通水管の内部にたまった泥や砂を除くメンテナンスが本来の目的なのだとか。
棚田風景に溶け込むアーチ橋
通潤橋は、のどかな田園風景のアイコン的な存在感を放っています。しかもそれが違和感なく周囲の風景と溶け込んでいるのは、通潤橋がもたらす水の恩恵と関係があるのかもしれません。この風景は通潤橋があってこそ成立しているのであって、国の重要文化的景観に指定されているのも納得です。
五老ヶ滝に向かいます。滝の名前は「御覧に入れた滝」が訛ったことが由来とか。今は滝つぼまで降りることは出来ないので、つり橋からの遠望で我慢しましょう。太陽光の加減で虹が見えるかもしれませんよ。
この道は、最初に道の駅通潤橋や通潤橋史料館を見学してから歩くのがおすすめ。放水がない日でも、館内の映像を頭の中できっと再現できることでしょう。
放水カレンダー(山都町ホームページ)
熊本県上益城郡山都町
距離:3km 通潤橋前バス停から周回コース
[星の数] ★★(遠回りしてでも訪れる価値のある、道歩きが好きな人向けのみち)
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