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マムチュン(ママ虫)について思ったこと-『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んで

私自身が最近育児に関してモヤモヤしていたことと、本書に出てくる韓国ネットスラングで、育児をろくにしない母親を害虫にたとえた『ママ虫』について考えたことを書き記します。

書籍情報



著者:チョ・ナムジュ
訳:斎藤真理子
出版社:筑摩書房

あらすじ:韓国に生きるキム・ジヨン氏の人生について幼少期、学生時代から就職、結婚、出産の各ライフステージにおける女性特有の困難や生きづらさを描いている作品です。

印象に残った言葉−『ママ虫』

この作品は韓国女性が抱える生きづらさや困難を描いているのですが、特に印象に残ったのは、『ママ虫』という韓国のネットスラングについての場面でした。

『ママ虫』とは本書によると、育児をろくにせず遊び回る母親と害虫をかけ合わせたネットスラングだそうです。

本書の中で主人公の女性キム・ジヨンは、育児の合間に少しの休憩で立ち寄った公園で安いコーヒーをすすっていた時に近くにいた男性たちの口から『ママ虫』という言葉を聞いてしまいます。

この本を読んでいた時は私にはまだ子どもはいませんでしたが、この『ママ虫』という言葉は強烈に印象に残りました。そして、子どもが産まれた今では心から考えさせられる言葉です。

育児は生産的な活動ではないという思い込み

今は日本でも共働き夫婦も増加し、子どもが1歳になったら保育園にあずけて復帰したり、人によっては子どもが0歳から働いているなんてこともあったり、働く女性はよく特集記事になっていたりします。

私は様々な理由により今は仕事をしておらず、家で育児をしています。そうして子どもと一日中家にいる日々が続く中で、「育児は生産的な活動じゃなくて何もしていないんだ」という考えに囚われるようになってしまいました。

理屈の上では今は育児が仕事なんだと分かってはいるのですが、働いてお金を稼いできているわけでもなく、ハイクオリティな家事をできているわけでもなくて、自分も『ママ虫』なのでは?と思うようになってしまいました。

お金を稼いでいる方が偉いとか、お金が発生しない行動は無駄だという考えに囚われてしまい、1日中仕事の求人を探したりして焦っていたこともありました。

楽をしたいとか、ずっと家にこもっていたいから今こうしているのではなく、いずれはちゃんと社会参加して働きたいと思っていますし、資格取得に向けて勉強もしています。

でも外から見たら家でダラダラしているのと変わらないんだろうなと自分を責めてしまった時期もありました。

今は、たくさんお金を稼げるというわけではないですが、在宅で少し仕事をしたりするようになり、気持ちも落ち着いたような気がします。

全ての女性が共働きでバリバリできるわけではない

メディアやSNSを見ていると、出産後も職場復帰して共働きで活躍している女性が称揚されています。確かに今の時代は女性も働きながら育児もしていくことは理想だと思います。

その一方で、女性自身の身体的・精神的キャパシティの問題だったり配偶者の仕事が激務で協力を得られなかったり、配偶者の転勤が多かったりなどで女性が定職に就くのが難しかったり、そもそも保育園に入れなかったりなど様々な事情でバリバリ働くことが出来ない女性もいます。

社会でバリバリ活躍する女性が称賛されるのは良いのですが、各個人によって合う働き方は異なると思いますし、一時的に働けないということであればその時は配偶者に頼るといのも悪いことではないと思います。

男性がbreadwinner、一家の大黒柱として働く時代ではなくなってきていますが、全ての女性がバリバリ働くことができるわけではないという現状もあるので、女性が働きに出たい時にパッと働けたり、家でできる仕事がもっと出来ると良いななんて思いました。

かなり主観的で自分の都合に合った解釈になっているかもしれないですが、最近モヤモヤしていたことを文章化出来て良かったと思います。

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