幻想と日常、後悔や嫉妬、死
色んな不思議を文章にしてまとめました
長いのから短いのまで、超現実的非日常体験をどうぞ
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#オリジナル小説
#不思議系小説 粘膜商店街
腐敗ガスを動力にして走る肉骨(にっこつ)バスが1メートル80センチほどの骨格標本に肉新庄(にくしんじょう)と乱雑に書いたブリキ板を打ち付けただけのバス停に到着する。肉骨バス特有の、上腕三頭筋の感触に近いクッションにぶよぶよの皮膚を張り付けたシートの座り心地は最悪で、足早にバスを降りた。
ほかに降りる客は居らず、肉骨バスは再びしゅうしゅうがしゅがしゅと目に沁みるような臭いのする腐敗ガスを撒き散
#不思議系小説 Atrapamoscas
庭の片隅の日なたで
ハエトリソウが歌い出す
大きく口を開けて
小さな体を揺らして
細い茎に不釣り合いな
大きな口を開けて
小さな声を聴かせて
じっと見つめていると
今にも喋り出しそうだ
モウセンゴケの玉粒が
水を浴びてキラキラと
乱反射する
その一粒一粒に閉じ込めた
違う未来と世界の自分が
一斉にこっちを見つめてる
全部の自分と目が合って
ハエトリソウの歌が
いつの間にか止んでいる
全部の自分と目
#不思議系小説 タリスマン
青く、どこまでも晴れた遠くの空の下でもうもうと立ち上る黒煙を見ていた。車も人も通らない田舎道。のどかな陽射しとぼんやり浮かぶ真昼の月。それとは対照的に、どこかで誰かの財産が、命が燃えている。
ぼがん
と低い音が響いて、ひと際大きな黒煙の塊が上っていった。青空のバケツに墨汁を流し込んだように、黒煙は高く高く上っていって、やがて薄く散っていった。
ちりん。
谷町九丁目の交差点。千日前通は深