アイルランドの幻想作家ロード・ダンセイニ、中国を詠む
乾隆帝の急須
On a Teapot of Chien Lung
この目はとらえた、
急須に描かれた芍薬の花を。
その薄桃色は、海が夜明けから
陸へと運ぶ霧のごとし。
定めの時を知らぬ
二片の花びらが落ちれば
花にむかって素早く
舞った似我蜂。
気だるい微風に吹かれ
ゆったり動くは、別の似我蜂。
ああ! 世事にうとい漢人を
いかにして変えられようか。
アイルランドを代表する幻想作家、ロード・ダンセイニが1938年に著した詩集Mirage Waterに収録された詩のOn a Teapot of Chien Lungの翻訳です。
以下の記事においても触れたのですが、この詩は東洋の文化に強い関心を持つダンセイニが1935年のロンドンにて開催された中国芸術大博覧会で目にした急須を題材にして書いたものです。
この詩につきましては、乾隆帝(1735-1796)をタイトルに入れていることから、乾隆帝亡き後の清国に対して西洋化(機械を嫌うダンセイニにとっては機械文明化も伴っていたと考えていたでしょう)を進めさせる英国を嘆いたものであると、私は解釈しております。
読んで下さった方々に御礼を申し上げます。
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