
パートナーが無職になりました
『仕事を辞めたい』と切り出された日
今年の頭頃から年上の異動してきた方とソリが合わず、冷たく対応されたりしたのがキッカケで、同棲しているパートナーから度々相談を受けるようになりました。
キャパシティは人それぞれ
私の持論ですが、仕事というのは嫌なことだらけです。
お客様も良い人だけでは無く、常識が通じないような方だったり、クレーマーだったりします。それに職場環境だって、嫌な上司だとか、職場内の派閥、融通の効かない上層部だとか、比率で言えば仕事なんて嫌な事の方が多いです。嫌な事があって当たり前だと思っています。
最初パートナーから『仕事を辞めたい』と言われた時、私は『仕事なんて嫌な人の1人や2人居るんだから我慢しなさい』と、言いました。今思えば間違っていたと思います。
心身ともに表面的な不調をきたしていたにも関わらず、私は『私だってお腹痛い日だってあるし、肩が痛くて休みたい日もある、でも出勤しているから大丈夫!行けば良くなる』と、鬼みたいな事を言っていました。
それもそのはず、私は体調不良を仕事の忙しさで打ち消す"出勤療法"が持論でした。
パートナーと私の間には6歳の年齢差がある(私の方が年上)のですが、労働姿勢はジェネレーションギャップなのか180°違います。
その後のパートナーの不調ぶりは怒涛の勢いでした。頭が痛い、吐き気がする、肩が痛い、めまいがする、食欲が無い、涙が出る、常に不安、眠れない、などなど挙げたらキリがありませんでした。
結局、パートナーのライフワークでもあるイラストや創作活動に専念したいという言葉に根負けして、私は流行りの退職代行なんて使わずにちゃんとした手順を踏んで会社を辞める事を条件に退職する事を認めました。
余談ですが、この頃が1番同棲生活終焉の危機でした。パートナーは私がモラハラだと言い、向こうの家族とテレビ通話をする事態まで進展しました。人によってストレスの耐性・キャパシティは違うという当たり前の事を、私は自分の中の常識を相手に強要しようとしていたのです。
身近な人が無職に
なったからこそ知る
雇用のセーフティネット
パートナーは、私と同棲する前は関東に住んでいました。私と岩手県で共同生活をするに差し当たり、パートナーはそれまでの仕事を辞めたので、退職以降の行政サービス、ハローワークの支援関して様々な知識を持っていました。
現職に勤続10年目の私は知らない事ばかりです。
ハローワーク主体の就職支援は事務職の基本でもあるワード・エクセル・パワーポイントの操作をはじめ、フォトショップや各種グラフィックデザイン学科、CAD製図や重機の取り扱い資格といった様々な内容に富んでいたのです。就労中の私ですら気になるラインナップでした。
一般的に日本はまだ"職を失ったら終わり"という思考が強いと思います。転職先が決まってから退職した方が良いとかが良い例でしょうか?
しかし、この様々就労支援の資料を見るとあながちそうとも言えない気がします。
夢半ばに様々な事情で興味の無い仕事に仕方なく勤め続けていたりする方もいらっしゃる思いますが、そういった方々にもある種の"蜘蛛の糸"的存在にもなりうる気が私にはするのです。
ハローワークの支援は何も仕事を失った人に対してのみでは無く"心のどこかにモヤモヤを抱えたままの中堅"にも向けられているような気がするのです。
夢半ばに諦めた私だからこそ
パートナーの夢を応援したい
先述したハローワークの就労支援の中に、グラフィックデザイン学科がありました。パートナーの夢は“イラスト関係の職”です。もっと突き詰めて言えば“漫画家”なのですが、非常に狭き門です。
先ほど私は、ハローワークの就労支援を"心のどこかにモヤモヤを抱えたままの中堅"にも向けられているような気がすると書きました。
私の将来の夢は“カーデザイナー”でした。確かに、今からでも現職を辞めて、再度デザインについて学ぶという道を選ぶ事も可能でしょう。しかし、色々私なりに思うところがあって、カーデザイナーの道を諦め、遠くから自動車業界に携わる道を選ぶことにしたのです。その選択そのものに後悔はありませんが、時々心の中のモヤモヤを感じる時があるのです。
パートナーにはそういう思いをして欲しくはありません。夢を叶えうる場面ではしっかりとその蜘蛛の糸を掴んで欲しいのです。
パートナーが行きたいと言うグラフィックデザイン学科を学ぶには入校料がかかりますし、そもそも訓練校まで車で1時間もかかります。パートナーは岩手県に来るまで都市部で暮らしていたので、運転免許を持っていません。訓練校に間に合う電車は、ただでさえ列車本数の少ない岩手県ですから朝6時に乗らなくてはなりません。パートナーに大変に身体的に負荷がかかります。
私はパートナーのグラフィックデザイン学科の入校料・自動車運転免許取得費用を肩代わりする事にしました。
パートナーの夢が私の夢になる時
この入校料と自動車運転免許取得費用を肩代わりしたのは無駄金になる可能性もあります。入校しても続かなかったり就職先が見つからなかったり、或いは自動車学校で挫折したり、パートナーの事なので様々な不安要素があるのが正直です。
しかし、2年間寝食を共にして色々な事を話したり、行動してきた間柄ですから、信頼と愛情はあります。パートナーの人生において今の私のように、後悔やお金の問題だけで諦めた事を作っては欲しく無いのです。
私は、“私の人生のになり得た部分”を取り戻すために、パートナーの夢を応援する事にしました。
しかし、パートナーが無職なった事によりメリットにも気付けました。パートナーはインドア派なのでほとんど自室にいますが、仕事を辞めてからは部屋やお風呂の掃除をしたり、洗濯をしたり夕飯が凝ったものになったりとQOLが格段に向上したのです。私の金銭的負担は正直言えば否めませんが、お金では買えない部分を副産物とした得た感覚もあるのです。
パートナーが新しい一歩を踏み出すその時、私も失った人生を取り戻す為に一緒に夢を追いかけているのです。結果はどうあれ、私たちの間柄はより深いものになるのは間違いありません。
今後も互いの夢を実現していくため二人で支え合いたいと思います。この決断が笑うのか泣くのか今はまだ分かりませんが、いつかnoteでこの日の未来をお話し出来る日が来れば良いなと思います。