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時との対話 : Dialogue with Time

「何歳にみられたいですか?」

時のトンネルには、「年をごまかしたことがあるか」「65歳以上になった時、どんなことをしていたいか」等、年齢にまつわる10の質問があったが、この問いかけに、ふと足が止まった。

今なら、5歳くらい若くみられたい。5年前も5歳くらい若くみられたかった。

でも、学生の頃は、年上に見られたかったはずだ。小学生低学年なら高学年に、高校1年ならば最長学年に、純粋に憧れていた。

社会人になってからも、年上に見られるよう努力していたが、理由は変わった。

通訳翻訳という職業柄、経験者の方が圧倒的に信頼度合いが高いのだ。若くしてこの世界に入ってしまった私は、少しでもいいから年長者に見られたくて、常に背伸びばかりしていた。知らないことがあって内心大パニックになっていても、涼しい顔をずっとしていた。

見る人が見ればそんな虚勢、お見通しだっただろう。若造がギリギリで頑張ってるな、と可愛がってくれた人もいただろう。周りの大人が静かに見守っていてくれたから、オトナぶりたいガキは安心して、上だけを見ていられたのだ。足元を気にもせずに。

それが、いつから若く見られたい、という方向に逆転したのだろう。

歳をごまかしたことはないし、聞かれれば答えもするけれど、若く見られると嬉しい。内面も若くありたい。いつまでだってチャレンジャーでいたい。でも、それだけじゃない。

実年齢にふさわしい中身が伴っていないという気後れが大きいように思う。この年齢にあるべき落ち着きや知識、おおらかさなどが、まだ追いついていないのだ。足元を静かに見守り、つまづかないように気配りしてくれていた私の憧れていた先輩方には、まだまだ届かない。

それなのに、時間経過のスピードは加速する。この5年のギャップが、いつまでたっても埋まらない。

大人としての成熟度と、子供のような好奇心と、両方を備えられて初めて、わたしは自分の実年齢にしっくりくるのだろう。その時初めて、ちょっとだけサイズが合っていない靴下を履いた時みたいなもぞもぞ感から脱却できるのだろう。

いつも、今の自分が一番好きな自分になれるのだろう。

考えるきっかけをくださったDialogue with Timeに感謝を。


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いしまるゆき
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