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【青木世界観】【読書記録#34】

いきなり何かが上手くなることなんてないですからね。小さな成功の積み重ねが、大きな成長に繋がっていく。小さな成功を大切に。いい言葉ですよね。

P.117 第五章 失敗

人生も、野球ができるキャリアも思っているより長くない。無駄な時間を過ごしているのは本当にもったいないなって思うんです。究極を言えば、ちょっと失敗したからって命を取られるわけじゃないんだから。転んだらすぐに立ち上がって、一歩目を踏み出してみる。失敗を繰り返すためにすぐに動き出してみる。いつまでも引きずるよりは、その方が楽だし簡単だったりする。だから失敗から立ち直るコツは何かと聞かれれば、僕は「一歩目」だと思っています。

P.123 第五章 失敗

勝ったと思ったら、もうそれ以上先はないですよね。それでゴールじゃないですか。だから自分の成績について、例えば首位打者を獲ったり、記録を作ったりした時に思うのは「勝った」ではなく「負けなかった」という思いに近いかもしれない。勝ったと思えばそこで終わりだけど、「負けなかった」と思えば、これからも負けないためにやり続けるしかなくなる。連続チャレンジをしていくしかないわけですからね。

P.172 第八章 勝利

青木宣親さん。東京ヤクルトスワローズに所属した元プロ野球選手で、史上2人目となるシーズン200安打の偉業を達成し、メジャーリーグでも活躍した俊足巧打でありながら、ゴールデングラブ賞を取得する攻守万能な選手。2024年に引退。日米通算2716安打。

尾崎世界観さん。ロックバンド「クリープハイプ」のボーカルで、その名の通り独特の歌声と曲の世界観で聴く人を魅了する。クリープハイプの代表曲は「憂、燦々」「栞」。

『青木世界観』は野球界と音楽界をけん引してきたふたりによる対話本。
一見するとどこでどういうつながりなのかわからない節があったが、答えは東京ヤクルトスワローズ。尾崎さんが大のスワローズファンで、同チームに所属していた青木さんと縁があったとのこと。

イメージ上ではあるが、両人ともその道を進む天才である、と感じている。月並みな表現だが、才能がある人たちという認識が根強い。

青木さんはプロ入り2年目からシーズン200安打の大偉業。
尾崎さんはクリープハイプとしてメジャーデビュー後すぐにオリコンチャート入りの楽曲を連発。
どちらも表舞台に早くから登場し、目立っている印象だ。

しかし、当然と言えば当然だが、本人たちは努力し、悩みを乗り越えてきた存在だ。そういう人たちが紡ぐ言葉には、人を動かす熱量がある。

本書では「チャンス」「才能」「技術」「数字」「失敗」「コミュニケ―ション」「継続」「勝利」「引退」といった言葉を、尾崎さんの経験や考え方をはじめとした語りから、青木さんの経験や考え方へと対話をつないでいく。
基本的に青木さんの話を尾崎さんが聴く、という構成になっているのだが、両者とも言葉選びが卓越している。

冒頭の引用文はすべて青木さんの目線での言葉ではあるものの、返しの尾崎さんの言葉もまた今までの経験や思考を刺激される。

私自身もスポーツをやっていたし、その時に自分が青木さんのような熱量を持って何かに取り組むことができていれば、もっとよい人生にできたかもしれないという後悔の念が押し寄せる。その一方で、今この本に出合えたことで、今後の人生に熱量を持って取り組めば、必ず素晴らしい人生になる。青木さんも言うように、「「勝ち組」とか「負け組」とか言うけれど、それは
人生の最後にならないとわからないんじゃないかな。」と思えたからだ。

2人の話をずっと聞いていたい。そう思えるような作品だった。
ぜひ手に取って読んでみてほしい。

それではまた、次の本で。


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