禅宗の称は、魔波旬の称ずるなり。
仏教に多少なりとも知識・興味をお持ちの方は、道元の名を聞いて、禅宗、なかでも曹洞宗の開祖だと思っていらっしゃるかもしれません。とくに曹洞宗の僧侶にとっては、そのことは疑うべくもない大前提のはずです。その疑ってはならない常識を、道元自身の言葉が打ち砕きます:
仏々正伝の大道を、ことさら禅宗と称ずるともがら、仏道は未夢見在なり、未夢伝在なり。
諸仏が正しく伝えてきた大いなる道を、ことさらに「禅宗」と呼ぶ輩は、仏道を夢にも見たことなく、夢にも伝えたことはない。
禅宗を自号する