『赤旗のふんどし借りて勝ち戦』今回の衆院選は赤旗(共産党)がMVP?【比例代表(党派別)得票数・得票率の分析】物価は上がれど所得は伸びず、有権者は経済を優先・イデオロギー右傾化は続く
※ 表題の川柳『赤旗のふんどし借りて勝ち戦』は朝日川柳・山丘春朗選(2024/10/29)より引用しました。
追記
2年ほど前に裏金(不記載)問題をスクープした赤旗と並び、赤旗の取材を受けた後、膨大な時間をかけて問題を徹底的に調査された上脇博之(かみわき ひろし)神戸学院大学法学部教授もMVP。
選挙結果の総括についてはパーセンテージ(投票率・得票率)で語られることが多いですが、各候補者や政党全体に実際に投じられた票の数(何万票や何百万票といった数字)を眺めることも有益です。
【速報値】比例代表(党派別)
得票数・得票率・当選人数
得票数 得票率 当選人数
自由民主党 14,582,690 26.73% 59
公明党 5,964,415 10.93% 20
立憲民主党 11,564,217 21.20% 44
国民民主党 6,172,428 11.32% 17
日本維新の会 5,105,127 9.36% 15
れいわ新選組 3,805,060 6.98% 9
日本共産党 3,362,966 6.16% 7
参政党 1,870,347 3.43% 3
日本保守党 1,145,622 2.10% 2
社会民主党 934,598 1.71% 0
みんなでつくる党 23,784 0.04% 0
安楽死制度を考える会 18,455 0.03% 0
合 計 54,549,709 100.00% 176
【速報値】比例代表(党派別)
得票数の増減(2021年 vs 2024年)
2021 2021 2024 2024
得票数 得票率 得票数 得票率 増減数
自由民主党 19,914,883 34.66% 14,582,690 26.73% -5,332,193
公明党 7,114,282 12.38% 5,964,415 10.93% -1,149,867
立憲民主党 11,492,095 20.00% 11,564,217 21.20% +72,122
国民民主党 2,593,396 4.51% 6,172,428 11.32% +3,579,032
日本維新の会 8,050,830 14.01% 5,105,127 9.36% -2,945,703
れいわ新選組 2,215,648 3.86% 3,805,060 6.98% +1,589,412
日本共産党 4,166,076 7.25% 3,362,966 6.16% -803,110
参政党 1,870,347 3.43%
日本保守党 1,145,622 2.10%
社会民主党 1,018,588 1.77% 934,598 1.71% -83,990
みんなでつくる党 23,784 0.04%
安楽死制度を考える会 18,455 0.03%
NHKと裁判してる党 796,788 1.39%
諸 派 103,393 0.18%
合 計 57,465,979 100.00% 54,549,709 100.00% -2,916,270
(※ 速報値(2024年)については白票等は除いて計算)
(名称が変わり続ける)反NHK党が静かにしていたお蔭で(前回の都知事選挙とは異なり)今回の衆議院議員選挙は粛々と進みましたが、前回の選挙(2021年)に比べ投票率は約2%下がり、投票数は約3百万票減りました。
昨年の終盤から続く裏金(不記載)問題の影響が予想外に大きかったのか、自民党は大敗し(学会員の高齢化(?)に伴い創価学会票が逓減していると一部で報じられている)公明党も巻き添えになりました。(前回の衆議院議員選挙(2021年)と比べ、例えば、比例区における得票数は自民党が5百万票以上、公明党が百万票以上も減りました。)
公明党の比例区における得票数(前回は7百万票強、今回は6百万票弱)は創価学会のホームページに記載されている学会員の世帯数(827万世帯)を下回っています。有権者の数が1世帯平均、例えば、1人でなければ、学会員の投票率が低い、あるいは、他の政党に投票しているのかもしれませんが、学会員の世帯数が誇大広告である可能性も否定できません。
一方、裏金(不記載)問題を白日の下に晒し、先週ダメ押しのスクープ記事を掲載した赤旗(機関紙)の活躍も虚しく、日本共産党の議席数は減少しました。
地元(大阪府)の小選挙区では圧勝(全勝)した日本維新の会は、万博に関わる一連の騒動が影響したのか、選挙結果の速報値を冒頭に引用した通り、比例区では前回の衆議院議員選挙(2021年)に比べ得票数が3百万票も減少しました。
自民党と公明党の減少分の大半は立憲民主党の増加分となりましたが、右では保守党、左ではれいわ新選組が、国政を左右する水準にはほど遠いものの急伸し、中道より右寄り(?)の国民民主党が大躍進しました。
若者から高齢者まで、前回の選挙(2021年)では自民党に投票し、今回の選挙では他党に投票した有権者も多かったようですが
国民民主党と保守党が絶好調であった理由について、マスメディアが昨日の午後8時から様々に解説しています。中でもJX通信社による講評が腑に落ちました。
私は(ながら)テレビにも(ながら)ラジオにも(インターネット)新聞・雑誌にも時間を割いていますが、親の世代に活字離れしている上にテレビも見ない・ラジオも聞かない有権者は10代~50代まで増え続けているようです。
印刷メディア(新聞・雑誌)やラジオやテレビと異なり、インターネットを通じて目に・耳にする情報は(新聞や雑誌以上に)興味のない話題に時間をとられる無駄がない上に、各社・各サイトのアルゴリズムに従って関連情報が次々と提供されることで沼にはまり易い特徴(フィルターバブル現象)があります。選挙期間中、全ての政党はSNS上でこれまで以上に時間も手間もお金もかけて情報を発信していましたが、例えば、YouTube 上では国民民主党の検索数がずっと上昇を続けていました。
物価は上がれど所得は伸びず生活が苦しくなる中、経済を優先する(イデオロギーについて考える余裕のない)有権者の心には国民民主党の『手取りを増やす。』というメッセージが響いたようです。
比例区の投票行動を分析すると、与党・首相に返り咲いた後の安倍晋三元首相の長期政権に対する評価が高い有権者の比率は日本維新の会に投票した有権者より国民民主党に投票した有権者の方が高いそうです。
アベノミクスの頃には物価は安定していた・デフレから脱却することはできなかった訳ですが、異次元の金融緩和がもたらした(株式、不動産、他の資産価格)バブルで潤うこともなく(コロナウイルスやウクライナ・中東の紛争が経済に打撃を与えた)菅政権から岸田政権の下で生活が苦しくなった有権者が石破政権に期待することは難しい(自民党には投票しない)ようです。
また、与党・首相に返り咲いた後の安倍晋三元首相の長期政権に対する評価が高い有権者の比率は自民党に投票した有権者より日本保守党に投票した有権者の方が高いそうです。
経済を優先すれば国民民主党、イデオロギーを優先すれば日本保守党...投開票日から一夜が明けて、石破茂自民党総裁は当選した無所属議員の取り込みや他党との連携交渉にお忙しいようですが、比較的容易に防衛費の大幅増額を実現した岸田政権に続いて核共有まで視野に入れる石破政権は短命に終わるのでしょうか。
追記
旧統一教会に関わる問題は裏金(不記載)問題ほど有権者の行動を左右しなかったようですが、それでも、法務大臣
前文部科学大臣、元文部科学大臣、他、かなりの数の先生方が議員バッジを失われました。