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視点の自由研究No.76「視点_感情を動かすことが広告の仕事」
感情というエンタメでも書かせて頂いたのですが、人の気持ちを動かすということは人間社会において物事を動かす原動力だと思います。
衣食住の生活の安定という欲望。経済が豊かになることで、より高価なものを所得したいという欲求。ものに満たされ、さらに自己実現や人間関係の充実を図りたいなど、人の気持ちが社会の裕福度に合わせてその欲求を変えていったのは間違いないのではないでしょうか。
今回はそうした人の気持ちを動かすこと、それこそが広告の役目なのでは?というお話です。
「課題→未来→実現方法」
生活を送る上でものが充実し、また人口減少局面に入った現代。売ること自体の難易度は歴史上、類を見ないほど高まったと思います。
人の欲望に対して、ある意味ではガソリンを注ぐための役目を広告は担ってきました。かつての成長していく時代には広告も花形で、自分も若い時代に憧れた広告の名作たちが世を賑わせていました。
それから時は過ぎ、2023年は社会課題が世界的レベルで議論、検討され、いまだに世界は戦争していて、日本も限界を見据えながらのまさに持続可能をどう目指していくのか?を考える時代になりました。
そうした中で広告業界もただ商品を売ればいいという世界からクライアントの課題を共有、時には見つけ出し、それを解決する指標を作り、そうして作った目標に対しての実現プランを練り上げるというコンサル的世界になりました。
まさに課題を見つけ、目指すべき未来を描き、そこへ向かう実現方法を提案するというクライアントの事業をそのままサポートしていくような感覚が広告業界にも浸透してきたと思います。
「実現するためにサプライズを」
広告は、ネット社会の影響でトライアンドエラーが絶えず行え、より最適化された表現を最速で模索するという様相へ姿を変えました。さらにAIが発達すればおそらく売り上げや商品の特性を瞬時に解析し、人が作るよりも速く広告を作り流すということができるようになるでしょう。
そうした中でAIに変わる人の仕事をどう生み出していくか?
広告も映像を撮影するという醍醐味の一つがあります。いかにAIが発展しようとも撮影を狙った通りに瞬時に行うことはまだまだできません。ドローンやカメラなどは、AIのサポートを受けることでより簡単にできるようにはなると思いますが、何をどう撮るのか?出演者に対してどう演出するのか?など対人へのアイデアは人間の仕事として残るのではないでしょうか。
広告自体もきっとそうだという希望を込めてですが、人の気持ちを動かすアイデアはやはり人が考えていく必要があるのでは?と考えています。
クライアントの課題を解決する方法を人というAIとは違う揺らぎや雑念のイレギュラーな存在だからこそ考えられるサプライズがきっとあると思います。
「感情を動かすという仕事」
AIが高度に発達した世界でも、そのアウトプットを受け取るのは人間です。ビジネスの基本はやはり人対人。
様々なエンタメがそうであるように感情を揺り動かすということは人間の本能的欲求だと思います。広告も最後は人に向けて行われる活動。そこで誰かの気持ちを動かし、時には寄り添うということが実は最大の仕事だと考えています。
限界を迎えつつある世界で、ものを売り続けるにもアイデアが必要です。そうした世の中で感情を動かす仕事が広告だと信じています。
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