ゲーム屋人生へのレクイエム 4話
前回までのあらすじ。知人の子供にゲームクリエーターになるにはどうすればいいのか尋ねられた元ゲームクリエーターが自分の過去を語る。テキトーに自衛隊に入ることを決めて勉強から逃げていたが先生の一言から一般企業への入社も考えて手遅れの就職活動をはじめたころのおはなし。
「残り物には福があるのか?」
「なんのはなしですか?」
「俺は就職活動、就活何もしてなかったでしょ。残り物から探すしかないのよ。
求人票から志望する会社を選ぶんだけど、基本的には早い者勝ちなのよ。同じ会社に同じ学校から志望が殺到すると多くの生徒は試験に落ちることになる。企業としては同じ学校の生徒の採用に集中するのを避けるからね。だから先着順で志望する企業を決めてその求人票は締め切るのよ。
俺が求人票を見たときには残り物しかなかったのね。地元の零細企業かアホでは入れない田舎から遠く離れた都会の大企業とか。
地元の零細企業の入社試験は面接だけだからおそらく試験は受かる。けれど仕事の内容には興味ない。試験に受かったとしても入社しないで自衛隊に入る。じゃ何のために会社の試験を受けるのかわからない。先生は試験を受けるだけでもいいからとは言ったけれど、さすがに地元の会社で試験受けて採用になったのにそれを蹴って自衛隊に入るのは気が引けてね。
都会の大企業の求人票は思っていた以上に残っていてね。俺の通った学校はアホの生徒が過半数だったから名の知れた大企業はそもそも誰も志望してなかったのよ。先生もやめとけって止めたと思うよ」
「先生が止めるってどういうことですか?本人が志望するんだからいいじゃないですか?」
「受けても落ちる可能性が高いからだよ。一流企業は全国から志望が集まる。レベルは高い。アホは落ちる。だから先生は少しでも受かる可能性が高い企業を勧めるわけ。
それでも強引に試験を受ける奴もいたけど落ちたら次を探すのが大変なのよ。試験に落ちたってわかった時にはほとんどの会社の求人は定員到達で締め切っちゃってるからね。わずかな残り物の中から自分の夢や希望を削りまくって無条件降伏状態で試験を受けることになる」
「それで結局どの会社に絞ったんですか?」
「日本を代表する大手ゲーム会社2社」
「おおおおお。やっとゲームの話に近づきましたね」
「うむ。ゲーム屋人生の話とか言っておきながらゲームの話ほとんどしてなかったからな。今後の展開に期待してくれたまえ」
「はい!」
続く
*この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体とは一切関係ありません。