ゲーム屋人生へのレクイエム 2話
前回までのあらすじ。知人の子供にゲームクリエーターになるにはどうすればいいのか尋ねられた元ゲームクリエーターが自分の過去を語る。
「高校3年になった頃かな。卒業したあとの進路を決めなきゃならなくってさ。俺、勉強大嫌いだったからさ、進学はありえなかったのよ。そもそもアホだから試験落ちるだろうし。それで就職するかってことになるんだけどね。でも、いざ考えると何したいのかさっぱりわからない。自分に何ができるのかもわからない。ゲームクリエーターになりたいと言っている君のほうがよっぽど偉いよ」
「ゲームクリエーターを目指していたんじゃないんですか?」
「目指してなかった。ゲームの仕事をしようとか全然思ってなかった。それまで自分の将来とか何も考えてなかったのよ。何となくみんなが行くから高校までは行こう。そこまでしか考えていなかったんだよ。それで、その期限が迫ってきて、これから先どうしようかって考え始めたんだけど、答えが出なくってね。同級生は志望する会社をさっさと決めて、そこに入るための勉強とかしてるんだよね」
「入りたい会社とか無かったんですか?」
「さっきも言ったけど何も考えてなかった。将来の事を考えないで、ひたすら目の前の金が欲しくてバイトばっかりしてたよ。なんならこのままずっとバイトでもいいかもとか考えたりもしたよ。でも、やっぱ、それじゃまずいよねえって思ってさ。で、考える。わからない。考えるのをやめる。バイトする。というルーチンを繰り返す日々だったよ。そんな感じで迷っているときに目の前に答えを持ってきてくれた人が現れたんだよ」
「ゲーム会社のスカウトですか?」
「そんなのある訳ないでしょ。あったとしても田舎のアホ高校生をスカウトするはずないでしょ」
「じゃあ、誰ですか?その人って?」
「地連のひと」
「ちれん?」
「そう。地連」
「何ですかそれ?」
「地方連絡部の略」
「まだ何のことかわかりません」
「自衛隊だよ」
「???」
続く
*この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体とは一切関係ありません。