オークション形式の工夫デザイン - 相互満足の追求 +
競売/オークション --- それを生業にしていない限りは縁のない世界(*1)ですが、その中で興味深い工夫アイデアを見つけたので、今回はそれのご紹介(その前に「少し考えてみよう」🤔)をしたいと思います。
いつものような独創的な起案稿ではなく、今回はアカデミックな(経済学の『情報の非対称性』領域や『行動経済学』)要素の紹介風になります📖
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絵画のオークションや生鮮市場での”セリ”のイメージが強いでしょうか?
これは『公開型』といい、「競り上げ式」が主流ですが、その逆の「競り下げ式」=充分高い金額から始めて誰かが最初に「そこで買う」と言うまで価格を下げて行く というのもあり、花卉(かき)市場🌷で一般的とのことです。
他方、参加者が入札額を書いた紙を封筒に入れて主催者に提出するやり方は『封印型』で、不動産競売や公共事業の競争入札でみられます。
・・・ 「知ってましたか?」が記事の主旨ではないのでここまではほんの前置きです!
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では考えてみましょう☝
①一般販売方式ではなくオークションを選ぶメリットは?
②「競り下げ式」のメリットは?
③封印型に比べ公開型の欠点は?
④封印型の最大の懸案事項は?
👇 ☟ 《答えへと続きます》 ☟ 👇
当方は学者でも学生でもないので、〔学問〕としての知識を深く備えているわけではなく、『合理性追求』において有効となり得る要素のみを広く浅く拾っている程度なのですが、その扉を覗いてみると、何かと面白い話があり、デザイン思考の参考になりますよ☝
さて、答えの例です。
他にも思いついた点があれば是非おしえてください👂
①一般販売方式ではなくオークションを選ぶメリットは?
⇒順次顧客を回っていると時間がかかるので一斉に顧客を相手にすると売買交渉が効率的
②「競り下げ式」のメリットは?
⇒「競り上げ式」の方では(小刻みに上がっていく等)時間がかかる~短縮効果
③封印型に比べ公開型の欠点は?
⇒一堂に会した競合他社の誰がいつどの価格で手をおろしたかが見え(=相互に提示価格を知ることができ)、懐事情や評価基準がわかってしまう
そして、④封印型の最大の懸案事項は?が最大の注目点です。
参加者全員に平等な”オークション”なので、全体で最高額を書いた人に、その「言い値」で販売されます。皆さんもご存知の範囲かと思います。
ただ、一般的に、「支払ってもいい価格」と入札価格とが乖離して(=差が開いて)しまう傾向があります。「自分だけ高すぎる」のを言うと損だから、と”恐れ身構えて”しまうわけです(*2)。
するとどうなるか🙄
参加者同士の読み合い・駆け引きが起こり、運まかせのギャンブル性が高まります。乖離幅の大きさによっては、最も高い支払い意志を持つ人が競り落とせない可能性もあります。
高すぎる価格で買った(=そんなに出さなくても買えた)という結果になるとその人は”損”だし、その結果を恐れると充分には上がりにくい傾向になり、売る方も損。
結局は「売る人」「買った人」「買えなかった人」全体の満足感が低下しがちである
ということです。
*** 日頃からmy note内の記事に目を向けて頂いている方には、【常に全体効用の向上を意識】を重視ポイントの一つとしていることは、ご承知の通りです。 ***
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その懸案を緩和しようと考え出されたのが『封印型第二価格(セカンドプライス・)オークション』です。
一番高い入札額をつけた人が二番目に高い入札額で落札する、というもので、これにより自分が後悔しない金額を書きやすくなります。過少入札をしても得をしないので、自分が支払える最大の金額を正直に入札すれば後悔することはありません。駆け引きが要らず、自分で価値判断をしてそれを素直に書けば一番得だということです。
アメリカの経済学者ウィリアム・ヴィックリー《1996年ノーベル経済学賞》が考案した、互いの効能の極大化を目論んだデザインです💡
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