究極の背徳グルメ!蕎麦の名所で蕎麦への欲求を最大限高めてから、うどんを食べる。
「背徳グルメ」という言葉を聞いたことはあるだろうか?
ボリュームたっぷりのお肉、油やニンニクたっぷりのこってりラーメンなどハイカロリー高脂質の料理を指すようだ。
また、夜更かしして深夜2時くらいに食べるカップラーメンや冷凍チャーハンもその類だろう。「こんなご飯は体に悪い」という罪悪感やうしろめたさといった背徳感が1つのスパイスとなり、評判となっているのだ。
そう、背徳感は食へのスパイスとなる。
で、あれば旅先で土地の名物を食べたい欲求を最大限高めてから、全く別のご飯を食べることは背徳的な行為ではなかろうか?
例えば、蕎麦が名物として有名な長野で『蕎麦食べたい欲』を高めてから、うどんを食べるのはどうだろう?
蕎麦orうどんは2択クイズでこれまで1番聞かれるとともに、その回答によって派閥や争いを生んできた究極の質問だ(2番はきのこの山orたけのこの里)。
それほどまでに蕎麦とうどんは互いに素晴らしい魅力を持ちながら交わることのない対極に位置する食べ物だ。
蕎麦の名産地、いわば蕎麦が1番力を発揮するホームグラウンドでうどんを食べる…。
このうどんは背徳感というスパイスでとんでもなく美味しいのだろうか?
海原雄山も腰を抜かす背徳グルメの扉を開けようと思う。
背徳グルメの味わい方
8月某日、長野県松本・長野エリアで2泊3日の出張があった。
この3日間蕎麦は食べず、しかし蕎麦屋を見つけては蕎麦を食べたい欲求だけは高める…自分でも何を言ってるか分からない。
そして出張終わりに長野駅前でうどんを食べる、こんなプランで進めていく。
そもそも、僕は蕎麦が大好きだ。長野県の蕎麦を食べるためだけに東京からレンタカーで向かったこともある。
蕎麦がたまらなく好きな僕だからこそ、背徳感は増すと考えている。
せっかく長野まで来て、大好物を我慢する辛さがないといったらウソになる。だが、それと同じ位、蕎麦欲求がピークのときにうどんを食べて自分自身が何を思うのか…ワクワクしている。
いざ、出発
蕎麦への欲求を高める行為は到着前から始まっている。
松本へ向かう特急あずさの車内でこんな本を読んでいた。
執筆されているのは江戸ソバリエ協会理事長。ワインは全然分からないからソムリエにはなれないけれど、ソバリエなら目指せるかもしれない。
本を読んで歴史や蕎麦のダイエット効果、そして長野県と蕎麦の関係性を学び、どんどん蕎麦欲が高まっていく。
中でも人口10万人換算での蕎麦屋の数はなんと長野が全国1位とのこと。これは今回の背徳グルメ的にはかなり朗報だ。より多くの蕎麦屋を見つけて、食べたい欲求を高めていこう。
松本
到着。
ランチ限定おすすめセットには、心掴まれる文言が書いてある。
「そば粉につなぎの山芋を少し練りこんだ喉越しの良い風味豊かな手打ちそば、かえしを長期熟成しまろやかに仕上げた特製そばつゆ。国産原料にこだわり毎日店内で仕込んでおります。」
コピーライターに彦摩呂雇ってます?早くも蕎麦食べたくてしょうがなくなってきた。
のれんには「そばは鶴、あとは亀」の文字。「俺か俺以外か」を彷彿とさせるカッコ良さ。蕎麦界のローランドですね。
「そば茶はセーフだよ、誰も見ていないから飲んじゃえよ」という心の悪魔と「ダメよ、ここで我慢してうどんを最大限楽しむのよ」という心の天使が格闘しましたが、なんとか天使が勝ちました。僕はマラソン大会2週間前からビールを我慢できるくらいには我慢強いです。
それ以外にも蕎麦屋をグーグルマップで検索しては蕎麦食べたい欲求を高めるべく店の前まで赴く謎の活動を行い初日が終了。
この日は松本に泊まり、明日は仕事が終わり次第、長野へ向かいます。
長野
2日目。松本での仕事を終え、長野駅へ。
駅前の写真を取り、仕事へ向かい、終わったのは20時過ぎ。
蕎麦欲求を高めるために急ぎ、蕎麦屋へ向かう。
改めて思ったのは、蕎麦はお酒とも合う。特に日本酒との相性は抜群。日本酒が蕎麦の風味を、蕎麦が日本酒の旨味を、互いに引き出し合うのだ。何だそれ、戸愚呂兄弟かよ。
蕎麦屋さんのアルバイト募集。「お蕎麦が好きな人大集合!」とあるが、今なら通常の2倍くらいの熱量で蕎麦への思いを伝えられる気がする。
飲食店でのアルバイトを検討しているそこの君!その料理への欲求を最大限高めてから面接に望むと良い結果を得ることができるかも。
そろそろホテルへ戻り、明日の仕事とうどんに備えよう。
◆
翌日。15:00ようやく仕事が終わる。さぁ、ここからは背徳グルメの時間だ。
まずは最後のひと押し!蕎麦への欲求を高める。
~のど越しなめらか上品な味わい~
「更科白」
そばの実を挽いた際、最初に出てくる胚乳のみを集めた貴重な一番粉を使用。色のある甘皮が混ざっていないため、麺もおのずと白くなります。食べてみると、そばの香りは控えめですが、ほのかな甘みが。
~蕎麦らしい野趣あふれる味わい~
「挽ぐるみ黒」
そばの実をまるっと外側の甘皮まで挽いた粉で1番粉の甘み、2番粉の上品さ、3番粉の香りと色、栄養を兼ね備えた挽きぐるみのそば粉は、色も味も香りも風味もそばらしいと大人気。「田舎そば」とも呼ばれていますが、挽きぐるみならではの野趣あふれる味わいが好きだという人も多いです。
どちらも魅力的…。シルシルミシルのグルメレポで定評があったAD堀くんのごとく長尺で魅力を伝えている。
また、説明文の中に「胚乳」や「甘皮」など分からないワードが出てきたため、そばの実を図にしてみた。
「この蕎麦は1番粉多めだね」とか偉そうに言ってみたい〜。
ダメ押しで駅併設ビルも探ってみる。
「桶に入った草笛の蕎麦」
盛りが多い草笛の蕎麦は、箸を進めているうちに、乾いてしまうことがありました。そこで、少しでも乾きを防ごうと、桶に入りました。
上の文章で注目してほしいのは、最後の文章の文末だ。
「乾きを防ごうと、桶に入れました。」でも意味は通じるのに、「入りました。」と蕎麦が自ら行動したような表現となっている。お分かりいただけるだろうか?蕎麦は生きているのだ。
この2日3日、蕎麦について調べ、魅力を知り、食べたい欲求を高め、最後は生命の鼓動を感じることができた。
もう十分だろう、蕎麦を食べたい欲求は間違いなく過去最高まで高まっている。
ついにうどんを食べる
さぁ、ついにうどんを食べに向かう。この蕎麦激戦の地でうどんを提供する店なんてあるの?と思う方もいるかもしれないが、リサーチ済だ。
はなまるうどんMIDORI長野店。この地で蕎麦に負けじと戦う歴戦の猛者である。
はなまるうどんはうどんチェーン店な店舗数・売上が丸亀製麺に次いで全国2位。まさに今回食べさせてもらうにふさわしいお店である。
店舗に入った瞬間から周りの音が聞こえなくなった。いや、店内にはたくさんのお客さんがいてガヤガヤしているのだが、緊張なのかなんなのか、凄く神経が集中している感覚だ。
この3日間、蕎麦のことをとにもかくにも考え続けた。一方で、蕎麦を食べたい欲求を高めれば高めるほど、「でもうどん食べるんだよな…。」と頭の片隅には常にうどんの存在があったように思える。
そんな君と対峙することができて、胸の高鳴りが止まらない。
あまりの衝撃に二次元の世界に行ってしまっていたが、実際とんでもなく美味しかったのだ。
基本のはなまるうどんのポテンシャルでの美味しさはもちろんのこと、「蕎麦大好きな僕が、なぜ蕎麦の名産地に来てうどんを食べているんだ…」というどこにぶつけて良いか分からない感情が背徳感をマシマシにしており、最高のスパイスとなっていた。
加えて、「この広い店内でこんな行為(蕎麦への思いを最大限高める)・思いをしてうどんを食べている者はおるまい」という誰からも敬われることのない優越感や自身への特別感を感じることができた。
ここまでの3日間食べたかった蕎麦を我慢した血の滲むような努力が走馬灯のように蘇ってくる…。
もしかしたら麺類を3日食べていないからこそ純粋に麺を欲していたのかもしれない。
今回、旅先で土地の名物を食べたい欲求を最大限高めてから、全く別のご飯を食べることは背徳的な行為であり、美味しさが増すことを立証できたと思う。ただ、まだまだこの魅力的な『背徳グルメへの誘い』は始まったばかりである。欲求が高まったあとに別の料理を食べる瞬間のあの気持ちは、恐らく実行した者にしか分からない。
騙されたと思って、一度試してほしい。
それでは、皆さん!!次回、『沖縄県那覇市で食べる北海道味噌らーめんは背徳感があって美味しいのか!?』でお会いしましょう。ではまた。
【special thanks】
巡らせていただいた19軒のお蕎麦屋さん
はなまるうどんMIDORI長野店
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