#7 春が、嫌い。

3月に入った。
畑に積もっていた雪も、15度超の気温とお天道様のおかげで、日陰以外は一日ですっかり解けた。
場所によっては20センチほど積もっていたんだけど。
寒かった冬もそろそろ終わり、暖かい春がいよいよ始まる。

が、
僕は春が嫌いだ。
四季の中で一番嫌い。
それは農業をする前から。

環境の変化が苦手な僕にとっては、春は入学やクラス替えの時期で不安やストレスが半端ない。
それに加えて虫たちが動き始め、道端や庭先から山々まで芽吹きだす。
山の色が鮮やかな黄緑色に変わってくる。
周りの人間や動植物たちが
「やったぁ!暖かくなってきたぞ!」
「さぁ動くぞ!ガンバるぞ!」
というざわざわした感じが、ひしひしと伝わってくる。
これが最高にしんどく、辛い(ちなみに花粉症は今のところほぼなく、毎年、三日間ほど鼻がグジュグジュするだけで治まる)。

そしてその春嫌いの人間が農業を始めたらもう大変。
春は、秋冬野菜の最後の収穫、春蒔き野菜の準備と種蒔き、夏野菜の準備と種蒔きなどなど。
冬終盤の農閑期との差も大きく、余計に忙しく感じる。
中山間地域で営農しているので、周囲の山々にも急かされる。
もうフルボッコ状態。
それでも何とかやります。
機嫌は良くないけども。

この精神状態が解消されるのは、5月末ぐらい。
春野菜が採れ始め、苗を定植した夏野菜も活着した頃。
気温にも忙しさにも慣れてくる。

ただ、春のストレスから解放されたのも束の間、
今度は草刈り地獄が始まるのである。

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