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あらゆる人の育ちや生き方を肯定する汐見稔幸先生おすすめの育児書

娘が生まれてから、母に勧められてずっとEテレの「すくすく子育て」という番組を録画しています。

最近わたしはあまり見れていないのですが、主人は見ている様子で、子育てについて学んだことをアドバイスしてくれたりします。

番組の中で毎回2人ほど保育に携わる先生が出演していて、わたしはその中でも「汐見稔幸先生」のお話が好きです。

すごく伸びやかで懐が深く、決して子どもや親のことを否定しません。でも、どこか芯があり厳しさも感じて他の先生とは違う「何か」に惹きつけられていました。

迷うことがあったら「汐見先生の本を読もう」と思っていたのですが、娘が年中さんになってそのタイミングがあらわれました。

癇癪がひどくて、手がつけられない時期があり、どのように娘と接したら良いのか悩んだのです。

はじめは汐見先生の育児の指南書を読みました。そちらは、育児の技術的な部分が書かれていて、運動不足で癇癪になるということを知ったり、物語性のあるものが好きだというので、昔話を借りてきたり、面白い作り話をし合ったりしてみました。

その本もためになったのですが、汐見先生の頭の中や生い立ちが語られた「こども・保育・人間」という本がすごくおもしろかったです。

こちらは、教育学や心理学、哲学についてが対談方式で書かれたもので、保育の仕方というよりは思想に近い内容です。

わたしは、汐見先生の思想が好きだなと思いました。

読んでいて何箇所もハッとした言葉があったのですが、1番自分を肯定されたようで深く刺さった箇所を引用します。

社会の枠組みに収まらないアウトローな生き方をしている人の背中を推してくれる言葉ではないでしょうか?

近代の社会の方がよほど特殊なんだな、と思う。みんなが勉強してある地点で進路を決め、会社だとか名前のある職業に就いて、働いて給料をもらう。それがふつうと思っているかも知れないけれど、そんな形は人類の歴史の中でごく最近にできたシステムに過ぎない。いずれまた消えていくのではないか。

本当は、たった一度しかない人生で、何をどうしていけば自分の求めているものが見つかるんだろう、と迷い、模索しながら、最低限食っていけるようにする。あれをし、これに挑み、徐々に生き方の自分流ができてくる。そしてまだやりたいことが残っているけれどと思いながら死んでいく。それが「人生」なのではないか、と思うんです。

それが今はもう枠が作られすぎていて、みんなとりあえずどこかに収まろうとして、なんとか上手く収まったらそれを「人生」というのかな?

だからゴリ(対談相手の小西貴士さん)を見ていると、ゴリは人間の本来の姿を「模索している」というか、ある意味典型的な人間の姿なのかな、なんて思うんです(笑)

何度も繰り返して読みたい言葉です。すべての言葉が深いんですよね。
言葉として読みながらも、その背後にすごく血が注がれているというか、言葉にならない部分で伝わってくる何かが汐見先生にはあります。

育児はこうしたらいいとか、こうすべきだとか強い口調で書かれている箇所はないのに、この本を読むと子どもとの接し方を見直せたり、自分なりにこうしてみようかなと考え直すことができるので不思議です。

保育について他の本とは違った角度から、普段の自分を見つめ直せる一冊です。育児書のおすすめを聞かれたら迷わずこの1冊を推したいです。

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