
早く詠みたい。『すごい短歌部 』を読んで
いやーこの本は良いね。
短歌の楽しみ方が分からない人にも読んでほしい。
もともと木下 龍也さんの短歌は好きだ。この本では、入部希望が殺到している連載「群像短歌部」を単行本化したものらしい。はじめて聞いた「群像短歌部」
『すごい短歌部 』は、以下のこの3つの流れで進んでいく。
1.テーマを発表
2.採用した短歌について木下 龍也さんがコメント
3.木下 龍也さんの短歌を掲載し、発想→推敲→完成までを紹介
まずはじめに、短歌のテーマが面白い。
・気になるスキマ
・3/サン/さん
・やがて
一部を抜粋するとこんな感じだ。抽象的なテーマで短歌を作るのは難しい。良い短歌に仕上げる前に何も思い浮かばない。
そして、『すごい短歌部 』で採用されている短歌はどれもすばらしい。私にない発想ばかりで頭を抱える。世の中にはこんなに素晴らしい短歌を読む人がいるのか。いやー短歌は面白い。
採用された短歌だけでも素晴らしいと感じるが、木下 龍也さんのコメントがよりその短歌の良さを私に教えてくれる。私の知らない視点からのコメントでそういう見方もあるのか、と驚く。
短歌をどう楽しんでいいのか分からない人にもおすすめな理由はこれだ。いきなり31音を楽しめといっても難しいだろう。アシストがあることで短歌を楽しみやすい。素敵な本だ。
私自身、短歌を読む時に「あー良い短歌だ!」「素晴らしい!」と思って終わってしまうことが多い。もっと立ち止まって短歌の風景を想像したい。私はこう思ったけれど、もしかしてこうかもしれないと考えを巡らせる。そんな時間をきちんと取りたい。
また、『すごい短歌部 』のすごいところは、木下 龍也さんが短歌を完成させる過程が書かれている点だ。他人が短歌を作る過程はなかなか見られない。制作過程で生まれた短歌も掲載され、やはり完成形は美しいと感じる。
人の心を揺さぶる短歌を作るにはやはり生み出した短歌をこねくりまわす必要がある。生まれてすぐに世界へ放出してはいけない。しかし、私はこねくりまわす方法が間違っている、もしくは下手なようだ。どうこねくりまわしても最初の短歌の方が良い気がしてしまう。伸びしろだ。
さらに、私にとってテーマの単語に短歌が引っ張られてしまうのも問題である。
はなびらに殺到されてまたひとつ桃色に干上がる水たまり/木下 龍也
この短歌のテーマは「群れ」だ。群れという単語を使わずテーマに沿った短歌になっている。さすがだ。
まずテーマから連想し、他の人とは違う場所へと思考を飛ばしていく。この訓練をまずしたい。私はまだ自分の人生を楽しみ切れていない気がする。見逃しているモノが多い。
時折読み返して、自分の短歌に影響を与えたい。
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