【文化財紹介】大大阪のモダンなビル 〜大林組旧本店〜
【2022年10月1日/大阪歴史倶楽部】
大阪歴史倶楽部です。
大阪市北区にあります大大阪時代を象徴するような華麗なビルをご紹介いたします。
大林組旧本店ビル
大阪市北区の北浜エリアにある大林組旧本店ビル(現・ルポンドシエルビル)は、大阪市を創業の地とする大手ゼネコンの大林組の旧本店として建られました。1926(大正15)年に建てられた当時としてはたいへん大きく近代的なビルです。
大林組の沿革
大林組さんの沿革を以下に簡単に年表でご紹介いたします。
外観の写真
以下は大林組旧本店ビルの外観写真です(2021年9月 大阪歴史倶楽部 撮影)。
この建物は、大正時代から昭和初期にかけて大阪市がもっとも繁栄した「大大阪時代」のモダンな雰囲気をとてもよく伝えている建物だと思います。
特徴
このビルは、鉄筋コンクリート造で地上6階、地下1階建。外壁には当時たいへん流行していた褐色のスクラッチタイルを全面に貼り、腰壁には凝灰岩(竜山石)を用いています。最上階の両端には円形レリーフが飾られ、建物正面中央部には各階の窓を囲むように3つのアーチと最上部に並ぶ3つのベランダなどが象徴的です。
その後1973(昭和48)年に大林組は向かいの超高層ビルに移転し、この旧本店ビルには現在フレンチレストランの「LE PONT DE CIEL(ルポンドシエル)」が入居しているので「ルポンドシエルビル」と呼ばれています。
大林組旧本店ビルへの行き方
大林組旧本店ビルへは、大阪メトロ堺筋線「北浜」駅または京阪電車「北浜」駅から土佐堀通沿いに東へ約500m(徒歩約10分)です。
もしくは大阪メトロ谷町線「天満橋」駅または京阪電車「天満橋」駅から土佐堀通沿いに西へ約500m(徒歩約10分)です。
大阪メトロおよび京阪電車の「北浜」駅と「天満橋」駅とのほぼ中間地点の土佐堀通沿いにあります。
おわりに
誰もが知っている大手ゼネコンの大林組さんは、1882(明治25)年に大阪市で創業した会社です。今回ご紹介したその旧本店ビルは、いまから96年も前の1926年(大正15)年に完成いたしました。
当時の大阪市は人口が首都東京を上回り、経済規模においても東京を凌いでいました。大阪市ではあらゆる産業が発展し、学問・芸術・文化が花開いていた栄光の時代「大大阪時代」を迎えていました。大阪の街が「モダン都市大大阪」「モダン大阪」と呼ばれ、モボ・モガ(モダンボーイ/モダンガール)たちが街を闊歩していた華麗な時代です。
そのような時代にこの大林組旧本店ビルは建設されました。ビルの南側は大阪の主要道路のひとつである土佐堀通に面し、北は土佐堀河畔という絶好のロケーションにこの豪壮華麗なビルが出現したのです。そこは北浜(いわゆる「船場」)という、昔もいまも大阪の経済の中心地です。
なお、ここで紹介いたしました大林組旧本店ビルを見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さん、周辺の方々に不快感を与えたりご迷惑にならないよう充分なご配慮をお願い致します。
また許可なく他の人の敷地内に入ったりしないようお願いいたします。とくに建物内部の撮影はセキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
【おもな参考資料】
◎『明治大正大阪市史紀要』大阪市 1930-32年
◎『銀行会社年鑑』(昭和9年版)1934年
◎『大阪市政五十年の歩み』1938年
◎『ルポンドシエルビル[大林組旧本店] 』大阪市リーフレット
(『大阪歴史倶楽部』第1巻 第6号 通巻6号 2022年10月1日)
※次号は2022年11月1日に投稿する予定です。
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