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【文化財紹介】大正ロマン香るビル ~船場ビルディング~

【2024年9月1日/大阪歴史倶楽部】
大阪歴史倶楽部です。今月は大阪市中央区にあります、1925(大正14)年に建てられた大正ロマン香るビル「船場ビルディング」をご紹介いたします。


船場ビルディング

今回ご紹介する船場ビルディングは、いまから99年前の1925(大正14)年に建てられました。

建築当初からエレベータが設置された鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建のビルで、ビル内に
オフィス部分と住宅部分とをあわせ持っています。

このオフィス部分と住宅部分とをあわせ持った設計は、当時としては画期的なスタイルでした。このモダンでハイカラな当時の最先端を行く商業ビルは、世の注目を集めたそうです。

現在この建物は、桃谷順天館(明色化粧品)さんのグループ会社である桃井商事さんが所有され管理運営をされています。

また、この船場ビルディングは2011年のNHK連続テレビ小説『カーネーション』のロケ地として使用されました。最近では民報(テレビ大阪)製作のドラマ『名建築で昼食を(大阪編)』の第3話(2022年9月1日放送)でも紹介されました。

このビルは現在、国の録有形文化財および大阪市の都市景観資源となっています。

なお、このビルの内部へ入るためには事前の予約が必要です(完全予約制)。ご注意ください。


外観の写真

以下は船場ビルディングの外観の写真です(2024年8月 大阪歴史倶楽部 撮影)。

01 船場ビル(南西から)
02 船場ビル正面(南から)
03 船場ビル正面下部(南から)
04 船場ビル正面上部(南から)
05 船場ビル正面中央部(南から)
06 船場ビル(南東から)
07 船場ビル遠景(南東から)
08 船場ビル遠景(南西から)



建物の特徴
船場ビルディングは、鉄筋コンクリート造り地上4階、地下1階建てで、南側を正面としています。

建物外壁の1階部分は白色タイル貼りで、2~4階部分の外壁には黄褐色のスクラッチタイルが貼られています。

建物内部は(この記事では写真を掲載いたしませんが)中央部に細長いパティオ風の中庭を設けてその部分を吹き抜けとし、中庭の周囲に回廊を廻らす形となっています。

なお、この建物の内部を見学するためには事前予約が必要です(完全予約制)。ご注意ください。


船場ビルディングへの行き方
船場ビルディングへは、大阪メトロ堺筋線さかいすじせんおよび京阪電車けいはんでんしゃの「北浜きたはま」駅6号出口から南西へ約500m(徒歩約5分)です。

船場ビルディングへの行き方の目安は簡単です。「北浜」駅6号出口を出ると目の前の大通りが堺筋さかいすじです。

その堺筋をまっすぐ南へ進み「淡路町あわじまち1」の交差点を右へ(西へ)曲がって200mほど進むと、やがて右側(北側)に船場ビルディングが見えてまいります。

以下、写真とともにご案内いたします。

(1)北浜駅6号出口を出ると堺筋を挟んで向かい側にはガラス張りのビルが見えます。

ガラス張りのビル


(2)そのガラス張りのビルは「北浜タワー」という高層ビルです。

高層ビル「北浜タワー」


(3)北浜タワーを左手に見て南進すると堺筋を挟んで向かい側に重要文化財の旧小西家住宅(旧小西家住宅史料館)が見えてまいります。

重要文化財 旧小西家住宅(旧小西家住宅史料館)


(4)さらに真っ直ぐ南進すると「平野町ひらのまち1」交差点の南西角に昭和初期(大大阪時代だいおおさかじだい)を代表するビルのひとつ、大大阪時代の栄光をいまに伝える美しい「生駒ビルヂング」(生駒時計店本店ビル/国の登録有形文化財)見えてまいります。

昭和初期の大大阪を象徴する「生駒ビルヂング」


(5)「平野町1」交差点を南へ渡り、生駒ビルヂングの前を通り過ぎるとすぐに「淡路町あわじまち1」の交差点があります。その「淡路町1」交差点を右へ(西へ)曲がってしばらく進むと船場ビルディングが右手(北側)に見えてまいります。

船場ビルディングがこのように見えてきます


【文化財データ】
船場ビルディング
大阪市中央区淡路町2-5-8
1925(大正14)年 竣工
鉄筋コンクリート造、地上4階、地下1階建
設計:村上徹一
◎国の登録有形文化財
◎大阪市都市景観資源
写真:2024年8月 大阪歴史倶楽部 撮影


おわりに
今回ご紹介した船場ビルディングは、大正時代の終わり頃から昭和初期にかけての「大大阪時代だいおおさかじだい」に建てられた、たいへん有名なビルのひとつです。

オフィスと住宅とをひとつのビルの中にパッケージングするという発想は、当時としては非常に画期的なもので、大きな注目を集めました。

このビルは建てられてから間もなく100年が経とうとしていますが、現在も外観・内部ともに非常に綺麗な良い状態が保たれています。

大阪市がその歴史上最も繁栄していた大大阪時代を物語る建物として、いまも大切にされていることが分かります。

なお、この船場ビルディングの建物を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さんや周辺の方々に不快感を与えたりご迷惑にならないよう充分なご配慮をお願いいたします。

また、許可なく他の人の敷地内へは入ったりしないようお願いいたします。このビルの内部へ入るためには事前の予約が必要です(完全予約制)。ご注意ください。

また建物内部を撮影される場合にもセキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。

今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

【参考サイト】
船場ビルディングさんのオフィシャルサイト


【参考にした資料】
◎高岡伸一 他『大大阪モダン建築』青幻社 2007年
◎『国指定文化財等データベース』文化庁 2024年版
◎「船場ビルディング」『OSAKA INFO』大阪観光局 2024年版(WEB版)
◎「船場ビルディング」『大阪文化財ナビ』大阪府建築士会2024年版(WEB版)
◎「船場ビルディング」『船場navi』一般社団法人船場倶楽部・集英地域活動協議会 2024年版(WEB版)


(『大阪歴史倶楽部』第3巻 第9号 通巻29号 2024年9月1日)


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※次号は2024年10月1日に投稿する予定です。

《次号予告》
【文化財紹介】
(内容未定)
いつものように近代の文化財をご紹介させていただきたいと考えています。

(※予告内容は変更する場合があります。ご了承ください)


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