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いつかの夏の朝の匂い

前日、運動会の疲れで七時半に布団に入ってしまったせいで、早朝に目が覚めた。
というかまだ夜だった。早過ぎる朝活。

しばらくnoteを読んだり本を読んだりして時間を過ごす。
子どもたちはぐっすり眠っている。


前の日の晩、次男が一生懸命、「白組は負けちゃったけど、最後の大玉転がしでがんばって、その試合は白が勝ったから、すっごく嬉しかった」と、本当に嬉しそうに話していたのを、半分ウトウトしながら聞いていた。
もっとしっかり相槌を打ってあげたかったけど、砂ぼこりにやられたのか、それとも花粉か、くしゃみが止まらず、目も開けられないほどかゆくて、起きているのが限界だった‥。

次男はひとしきり話すと満足したようで、オレも寝るーと布団にもぐっていった。その後しばらくして、兄弟二人とも電気を消して本当に寝てしまったから、我が家は八時にはもう全員就寝していたことになる(夫まで!)。

でもさすがに、まだ起きてこない様子。
疲れてたんだね、がんばったもんね。


外が明るくなってきて、彼らがまだスースー寝ているのを確かめて、そっと朝の散歩に出た。


夏場の方が、朝歩きのために頑張って早起きをしていた。と言うか、その時間帯しか外に出る気がしなかった。
やっとウォーキングやジョギングにちょうどいい季節になったのに、何だかんだ理由をつけて外に出ず、家でのんびりコーヒーを飲んでいた数週間。
夫の方が、週に何回と曜日を決めて朝からジョギングに出ている。
時間帯もコースも大体決まっているらしい。おそらく今朝も、この後一人起きてきていつもの公園に走りに行くんだろう。


私は、気まぐれだ。
いつも、前日の晩か、起きたその時の気分で、行くか行かないかを決める。
家の鍵と、携帯と、ハンカチだけを持って、
右に行くか、左に行くかはその時の気分次第。
年をとっても、ずっとこんな感じかも知れない。


実家の両親は、体力作りのために二人して歩いているらしい。実際、近所でもご夫婦でウォーキングや犬の散歩をしている方とよくすれ違う。
でも、ルーティンを決めて行動する夫と、飽き性で変化を好む私とでは、散歩一つとっても、別々の方がお互い長続きするような気がしている。
そんなことを考えながら歩いていた。


夏にはあまり来なかった隣町の方まで歩いてきた。六時過ぎ。もう日は昇っている。

この時間帯になると、あんまり家の近くを歩いていると人とすれ違うのが恥ずかしい。
誰とも会わないように、と夜明け前に家を出ると、不審者と間違われないか気になる。暗い中歩くのは楽しいけど、家族に心配されても困るし。なかなか朝の散歩も難しいのだ。

小さな公園を横切った。
公園と言っても遊具はほとんどない、小さな小さな憩いの場だ。虫が鳴いている。湿った土の匂いがする。
この感じ、何か懐かしい気がすると思って記憶を辿ると、夏休みの早朝の公園だった。

夏休み?そんなはずはない、今は10月だ。今朝はさすがに私も長袖を羽織ってきた。
でも‥と記憶を確かめる。


私が小学生だった頃、夏の平均気温はまだ30℃前後、七月の平均最低気温は22℃くらいだった(さっき調べてみた)。
ラジオ体操をしに公園に向かう頃は、きっと今と同じような気候だったはず。ひんやりした空気と、昇りかけの太陽。まさかこのタイミングで思い出すとは思わなかったけど。
我が家のボーイズの夏休みは、もう起きた時から30℃近い毎日だったから、こんな爽やかな朝は多分一度もなかったね。



あの時夏と呼んでいた季節は、もう今は違うものになってしまったのかな。

いや、きっと季節が増えたんだ、
春、夏、酷夏、再び夏、そして秋と冬。
秋の訪れるのが、もっともっと楽しみになった。

帰ろう。ボーイズももう起きてるかも知れない。
足を早めた。案の定、家の門を開けたところで、次男が窓から外を覗いているのが見えた。

ただいま。
おかえり。ママ、お散歩行ってたん?ごろんってしてお喋りしよう。
そうだね、ママ、起きたのすごく早かったから、もう一度ごろんってしようかな。
それとも、もう一杯コーヒー淹れようかな‥


秋だからね。


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