君の名は。/新海誠
映画公開前に小説版「君の名は。」が発売になっていたが
個人的には映画を見てから小説版を読むことをオススメする。
新海さんの「秒速5センチメートル」もそうだったが
今作も
映画版の補足が小説版だと描かれている。
基本的なストーリーは変わらない。
あの時、瀧君はこんなことを考えていたんだな~とか
三葉はこんなことを考えていたんだな~とか
映画を見た後に読むと
ページをめくる手が止まらない。
さくさく読み進められる。
組紐や舞いの意味合い、就活中に奥寺先輩と会った時の会話補足、サヤちんの家族が何をしているか等は映画で描かれておらず
読んで本当によかったと思う。
映画ではRADWIMPSの曲が4曲使われ、特に私は「なんでもないや」が大好き過ぎて、聴いてはよく泣いてしまうが
この小説は読んでいると音が聞こえてくるようだ。
新海さんもあとがきでRADWIMPSの歌詞に影響を受けていると書いているが
特に「なんでもないや」が最後の章でエンドレスで流れてくるような感覚になる。
音のない静かな状態から歌い出しが始まる「なんでもないや」
そこから徐々に歌が始まり
サビはひたすらに祈るように歌う。
“あと少しだけでいい あと少しだけでいい もう少しだけでいいから
あと少しだけでいい あと少しだけでいい もう少しだけ くっついていようか”
この秀逸な歌詞!胸に染みるメロディー!!
大切な人といる時、永遠がないと分かっている時ほど
まさにこんな気持ちに襲われる。
「あと少しだけでいい、もう少しだけでいいと願うほど
本当はずっとそばにいたいんだよね。
会えなくなってからそれは確信に変わり、そう強く分かってしまう。
映画を見た後、私は一緒に見た人にそう力説をした。
あと少しだけでいい、もう少しだけでいいと繰り返し歌うことで伝わる切実さ。
とはいえ
映画版の美しい街並みや美しすぎてため息が出るような空は文章化では伝わりきれない。
三葉や瀧君の汗や必死さや涙の意味も
2人の幼い微笑ましいやりとりも
奥寺先輩の大人の魅力も
やはり映画版の方が興奮するのだ。
「君の名は。」映画版も小説版もオススメ。
あ~、糸守町に行ってみたい。
せめて聖地巡礼したい。