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ナッツとクラッカー

人の小説や文章を読んでいるときに、なんとなく爽快というか形容しがたい滑らかな風がスッと目の前を吹いているときがある。そんなときには自分の世界がより広がったな、と思って嬉しくなる。

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 言葉をひとつひとつ丁寧に追いかけていったときに、果たして「良い本」の条件ってなんだろうと、一時期ぐるぐると自分の頭の中を掻き乱していたときがある。最近は少し見えたような、そうでもないような。それはきっと、読んだ人がその文章に対して、何か新しい宝物を発見したような気持ちになる文章。

 ああ、私もこんなこと経験したことあるな、というところから誰かの文章の沼にズブズブと入り込み、そしてそこで今まで自分が見たことのない新しい視点がパッと展開される。それこそが文章を読む意味のような気がする。「共感」して、新しいイメージが「想像」できる。そこから派生して、自分でこれまでに見たことのないあたらしい世界が「創造」できるようになる。

 最終的には一方的な文章の押し付けではなくて、そこから双方向的に読み手もあたらしい「何か」が生み出せるものが理想的だ。

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 最近ぽりぽりと日がなナッツばかり食べている。夜はワインやらハイボールやら飲むことが多いので、酒の肴にぴったりなのである。頭の中で「やめられない止まらない〜♪」というフレーズが突如として浮かんできて、ついつい手が止まらなくなる。恐ろしい食べ物……。

 いろいろ安くて美味しいナッツを求めた結果、最終的に行き着いたのはアイリスオーヤマが出しているナッツ五種。入っているピーナッツとアーモンドの比率が偏りすぎているという辛口意見もあるが、私は元々そのふたつが好きなので、むしろウエルカム。

 昔はナッツを食べすぎると鼻血が出るぞ、と脅されたが幸いにしていまのところ大事には至っていない。

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 最近週末は図書館の徘徊することが日課となっている。巡回パトロールの結果、見出した一冊の本。その名も『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』というタイトル。これはなんか狙ってきてるな、と思ったがとりあえずその意図に従うように本を手にした。最近、文章力うんぬんという本を読んでいることもあり、食傷気味なところもあるんだけど、やっぱり読んでて学ぶべきことも多かった。

 側にはきちんとナッツを盛り付ける用の小皿と冷えた白ワインを用意して、この時ばかりは貴族になった気分でページを捲る。酔っ払って頭に入ってこないというのでは本末転倒なので、お気に入りのモレスキンノートと三色ボールペンでふむふむと思ったことをメモしていく。

■ 文章を書く人の傾向は主にふたつ
  ①過去を回想しながら書き出す過去型
   <現実の自分>を連想し、過去へと移っていく
  ②まだ存在しないことを想像して「これから」を書き出す未来型

■ 人の心に残すためには、ある程度の「凸凹」が必要
  マイナスとプラスの感情を組み合わせていく
  → ここは物語を書くときにもとても重要だと思う。

■「どうでもいいと思われるもの」に不相当な価値や人格を与えてみる

■ さまざまな角度から見ることで、なんでも肯定できるようになる

■ 最後はあえて結論を言わず、情景描写だけにとどめる

■ 誤解されそうな箇所にフォローを入れる

■ 読点 多い … 親身に語りかけている気がする
     少ない … 一方的に説明されている気がする

 他にもメモしたことがあるのだが、だらだらと書いても仕方ないのでここら辺で止めておこうと思う。読み終わった後に気が付いたのだが、作者の三宅香帆さんて方は来月noteで講演することになっていたのか……。

 ナッツを食べながらふと本を読んで思ったこと。良い本とは何か。なんか良い本に巡り合ったときには、本当にナッツを食べている時と同じように伸ばす手が止まらなくなる。手を止めようとしても、次が気になってついついページをめくってしまう。そんな読書体験ができる本を「良い本」と呼ぶのかもしれない。

 最後はパァーンと目の前で弾けるクラッカーと乱れ飛ぶ紙吹雪やらテープやら色とりどりのワクワクする装飾物。しばらく余韻は続いて、本の内容を何度も何度も咀嚼することになるのだ。

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 結局今日もワインを飲みすぎてこのまま朝を迎えることになりそうだ。

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だいふくだるま
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