だいふくだるま

ふだんは写真と本と映画に関する記事を執筆中。最近は、愛の正体が知りたくて自分の中にある記憶を引っ張り出しています。心にじわりと残る言葉を拾い集めることが日々の原動力です。暖かく見守ってください。#愛について語ること Instagram、Twitter:@daifukudaruma

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    ついつい語り口に引き込まれて最後まで読んで感服した話のまとめ。

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    自分がいったい何について愛を感じているのか、きちんと言葉にしてみる。言葉にするために、愛の対象となるものを写真に残す。私が傾ける愛から、派生した様々なものや人とのつながりを考える。

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最近の記事

日常に殺され、転がされ、朝が来る

 日常に忙殺、という言葉は改めて字面だけ見るとホラー映画を見ているような気分になる。  気がつけば私自身ひとつ歳を重ね、「脂が乗っている」という世代に差し掛かりつつある。脂が乗るなんて、マグロだけにしてほしい。人間に乗ったところで大して美味しくなるわけでもないのに。20代の頃、のんべんだらりと生きていた時のことが懐かしくなる。それくらい、最近は自分でも何をやっているのかわからんくなるくらい1日がとても、とてもしたたかに過ぎていった。  あまりにも忙しいというか、やることが

    • モネが見た景色を、いつかまた

       私がまだ世間が何ぞやも全く分からない時代、あれは親より賜ったお金を使って大学で悠々自適に青春時代を謳歌していた時のこと。  厚かましくも、留学をさせてもらった上に、ヨーロッパを旅させてもらえないかとお願いし、約1か月ほど貧乏旅行をしたことがある。そして中でも一番印象に残ったのは、パリのオランジュリー美術館で見た睡蓮の間と、イタリアのヴェネチアでの日々だった。  ヴェネチアはちょうど人の往来が激しくなるカーニバルの前だったので、通りは閑散とし、時々大道芸人が人を集め、そこ

      • ただ、踠きながら光を見つける

         ここ数日、香港にまつわる記事をあげた。なぜか私の身の回りで縁があるというか、見るものが関係しているものが多くて、きっと何かに呼ばれているのかもしれない、と思ったりもしている。『恋する惑星』の他にも、つい最近『星くずの片隅で』という映画を見た。これは実を言うと少し、引きずっってしまったのです。  撮影された時期としては、まさに世の中はコロナの真っ最中。時間が経てば経つほど、過去の記憶は朧げになっていく。当時はあれほど皆が殺伐としていて、疑心暗鬼になっていて、マスクが品薄にな

        • 『恋する惑星』に巡り巡って不時着する

           疾走感と共に、さまざまな色が錯綜している。  香港に行った時のことを思い出して記事を書いていたら、数年前に鑑賞した『恋する惑星』を久しぶりに観たくなった。  どこかで観られないかなと思って調べたところ、ちょうどU-nextでリマスター版が観られると知って、お盆休み前に早速リモコンを手にとった。  初めて観た時は正直ストーリーの筋をよくわかっていなかったので、前半が終わる頃まで「あ、これって二つの異なる物語やったんや!」と気がつくほどだったのだが、今回新たに観ることによ

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          香港の夜は明けない

           かれこれ8年ほど前、私は友人と共に2人で香港にいた。訪れるきっかけはよく覚えてないが、渡航費が安かったのと、ネオンのギラついた街並みを一目見たいと思っていたからかもしれない。  今振り返ってみると、随分昔のことのような気がする。あれから時間が流れ、今トップ画像にあるようなこれぞ香港! という、私たちが憧れ抱いたネオンのギラついたレトロな風景は、コロナの時に取り払われてしまったというのをTwitterで見た。  今の写真はどちらかというとこざっぱりとし、当時私が感じたよう

          香港の夜は明けない

          夜明けが長い夜

           最近じわじわと自分のダメさ加減を再認識する出来事が増えている。  つい先日も会社に向かうバス停までの道すがらで本を読んでいたら、思いの外バスが停車する時間が近づいてきていて、あ、急がなきゃ、急がなきゃ! と思って走ったところ、時間には間に合ったものの、乗る直前でスマホが手元にないことに気がつく。  あれ、おかしいなと思って一度家に戻って探してみるも見当たらない。そして記憶を巡らすと、何やら玄関を出てくる時に直に手で持っていた記憶がある。そんなバナナ、と思ってバス停までの

          夜明けが長い夜

          日常の尊さが胸に残る

           いつも、息をするかのように写真を撮り続けている。 *  ある時いつものように外のベランダに出て、習慣としている植物への水やりをしようとしたら、いつもこの時期になると猛烈に葉を延ばしているはずのカレーリーフの葉っぱが、随分と寂しいことになっていることに気がついた。  てっきり水やりが足りなかったのかと思って、盛大にジョウロからたっぷり鉢の中に注ぎ込んだのだが、入れた側から水が鉢の下からこぼれ落ちてしまう。妙な違和感を感じながらも、その日は暑さで眩暈がしたため急いで部屋の

          日常の尊さが胸に残る

          見えないからこそ、愛しい

           つい先日まで、テレビに齧り付いたと言っても過言ではないくらい、私はただひたすらドラマを見続けていた。韓国ドラマである。この話はずっと前から誰かにその面白さを伝えたくて、もぞもぞしていたのだけれど、ぽつりぽつりと最近話をしたいなーと思って今回ようやくキーボードを打っている。  始まりは非常にわかりやすくて、ちょうどコロナくらいにみんながハマっていた『愛の不時着』を見たことだった。韓国ドラマは大体の始まりが、え、なに、そんなことってあるの!?という驚きから始まる。それから、尺

          見えないからこそ、愛しい

          どうか、ご無事で

           ふと仕事の打ち合わせ中に、突然鳴り響いたウィーンウィーンと耳障りな音がweb越しに聞こえてくる。私は思わず体が少し、強張った。その不穏な音は、緊急事態が起こったときに鳴るもので、私がいた場所は全く揺れる気配がなかったので誤報だといいな、と思っていた。webの向こう側にいる人たちも何がんだかわからない様子だった。  結局その後、テレビをつけると鹿児島や高知の湾岸線沿いで地震が起きたことがわかった。火の用心、津波も第一波が到来している。あれはもう10年前のことになるのか、東日

          どうか、ご無事で

          アバンギャル・ドバイ

           ドバイにいた友人Aが、アバンギャルドな感じになって帰ってきた。  半年ほど前、その友人A氏は奥さんと一緒にドバイへ突然行くと言い出し、戸惑いながらも私は友人たちと一緒にサヨナラパーチィを行って、涙を堪えて彼らを送り出した。いい感じに酔っ払いの友人Bが「ドバイへグッバイ」なんてよくわからない韻を踏み、同じく良い感じに酒の入った私たちは、そんなくだらない言葉にもケラケラ笑っていた。  A氏は、てっきりそのままドバイに永住するのかと思っていたら、つい数週間前に突然「帰ります。

          アバンギャル・ドバイ

          溶ける、角砂糖、ユリイカ

           暑さで体がうまく動かなくて、キシキシという音がする。蝉はこの季節らしく、喧しく鳴いている。いつまでもねっとりした汗が身体中を取り巻いて、離れることがない。私は俯き加減でスマホを見ながら、駅までの道をトボトボと歩いていた。このどうしようもない暑さを直視したくなくて、ただただひたすら歩き続けている。  例年にない暑さに辟易していて、日中はリビングでクーラーをかけているし、夜は除湿モードにして熱を和らげている。いつの間にか、家に入り浸る習慣がついてしまった。私の安否を気にしてく

          溶ける、角砂糖、ユリイカ

          一抹の淋しさを溶かし込んで

           体の周りにまとわりつくベタベタとした空気は、外を少し歩いただけでも不快さを催し、留めて急に体から体力を少しずつ奪っていく。  図書館への道を歩くだけでも、汗が全身にじわじわと滲み出る季節になってしまった。鬱陶しくて嫌だ、と思いながらもひたすら歩く。曇り空でも、湿度が高くて髪がまとまらない。目的地は、私の家を出て徒歩10分くらいの場所にある。そのため、軽い散歩としては最適な距離。実を言うと、家から図書館が近いというのも今の場所に決めた理由のひとつだった。  私が住んでいる

          一抹の淋しさを溶かし込んで

          【リハビリ日記】世にも悍ましい虫の話

           最近、とあることが私の頭をひたすら悩ませている。  ことの発端は、いつだったか思い出せない。2年ほど前、突如降り立った平和の象徴・でん助(注:鳩のこと)。彼らは、古より人へ刹那に宿るメッセージを伝えるものとして愛されてきたらしいが、私からしたら彼らの存在は目障りなものでしかなかった。ベランダへやってきてはせっせせっせと手紙の代わりに枝の切れ端を運び、ともすれば自分たちの愛の巣を作ろうとする。人の住処に、なんて太々しい! 非常に厄介な存在である。  なんとか彼らを我が領域

          【リハビリ日記】世にも悍ましい虫の話

          最近の出来事、リハビリ日記

           noteを更新することがめっぽう減り、それと比例する形で外部向けに文字を書くことが少なくなってしまった。ここしばらくはただひたすら韓国ドラマを見続けるか、あるいは試験勉強をするかのどちらかだった。やがて仕事も忙しくなり、いよいよ試験勉強が追いつかなくなってしまったので、ここで一つの決断をする──。もう、試験受けるの来年にしよう。  試験自体は、8月上旬に予定されていた。それを決めるのは時期尚早ではないかというウチなる心の声も聞こえて来そうなものだが、そもそも受験申請の1週

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          水平線が揺れる街より - 3

          ↓前回の記事より  くしゅん、という音が自分から発せられていたことに、コンマ5秒後に遅れて気づく。  窓のカーテンから薄く、光がさしている。  早朝、いつも通り6時ごろに目が覚めた。近頃、どうもずっと眠ることができないのは、やっぱり体力が落ちたからなのだろうかと妙に勘繰ってしまう。釜山滞在最終日は、日本を発つ前に仕事を残して来てしまったので、午後ワーケーション(初めてこの言葉使いました。いつか使ってみたかったんですよね~)をしなくてはならないということがほぼ決定。そんな

          水平線が揺れる街より - 3

          水平線が揺れる街より - 2

          ↓前回の記事より  私が宿泊していたのは、面前に海を垣間見ることができる海雲台という場所から、目と鼻の先ににあるホテルだった。  午前7時半、3月末の釜山の街はまだまだ寒さが残っている。薄着で部屋を出てきてしまったことを後悔しながら、ホテルの外をぶらぶらと歩いている。夜はあんなにもギラついていたのに、朝を迎えた途端、それはまるで別の街になってしまったかのようだった。  ネオンの感じが新宿と少し似ていた気がしたし、閑散とした雰囲気も朝のそれと近い感じがしたけれど、でも海雲

          水平線が揺れる街より - 2