ゴジラの日なので、一作目を改めて語る
本日(11月3日)は「ゴジラの日」ですね。
令和の和製ゴジラ映画として記憶にも、記録にも残ることになったマイナスワンの公開からも早一年、先日地上波での放送もあり…さらには、
驚きの発表がありましたね。何が驚いたって、山崎監督続投というところでしょう。シン・ゴジラの後にゴジラ映画を作るのはとんだ貧乏くじだと言っていた監督がそのハードルを乗り越えたと思ったら、今度は自分で高くしたハードルに再度挑むことになったのですから。
つい先ほど、まさにその話が記事として出て笑ってしまったものです。
また2,3年後になるでしょうが、今度はどんな時代、設定でゴジラを描くのか楽しみにしたいところです。
原点に今一度、思いを馳せる
さて、マイナスワンに関しては公開時から円盤が出た5月にかけて、noteでも何度か感想を語ってきました。シン・ゴジラを崇拝していた私にとっては公開前は「どうせB級パニック映画でしょ」とタカをくくっていた作品ですが、いざお目見えすると、シンとは違うタイプの大傑作でした。
個人的な好みの話を置いておいて、映画とは万人に伝わらなければいけないという観点で見れば、シンを凌いだといっていい作品でしたね。
世界的にも大変な評価を得て、「日本の怪獣王ここにあり」と権威をあらたにしたゴジラですが、その権威がいつ生まれたのかといえばやはり昭和29年、第一作目の「ゴジラ」の誕生時でしょう。まさに、ちょうど70年前です。
簡潔ですが、8年前の鑑賞記録として写したものがこちらです。反戦映画という側面はありながらパニックもの、人間ドラマと娯楽作品の要素がふんだんに詰まっていて、それらのバランスがとても良い名作なんですね。
純粋に、ゴジラの怖さという点ではこの一作目を凌ぐものはないと思っていますし、これに迫れたのはシン・ゴジラ、マイナスワンの2作だとも感じています。原点である初代ゴジラの恐ろしさを平成、また令和の時代に呼び覚ましたからこそ、直近2作は高い評価を得ているんですね。
これも別記事で述べましたが、特撮とモノクロ映像は相性が良いんです。ミニチュアの粗が目立たなくなり、着ぐるみもまたリアリティが増します。夜のシーンでは造り物の生物がフェイクに見えなくなる、という効果があるんですね。これは、ウルトラQにも当てはまる事実です。
なので、初代ゴジラは70年を経た今観てもチープさを感じませんし、当時の人達が感じた衝撃を追体験しうる映像として、現代に残っています。
何より、初登場シーンのインパクトはシリーズが30作以上を数えた今でもトップクラスといって良いでしょう、いや、一番ではないでしょうか。
これも、脚本を勉強する過程で得た知識ですが
「主役は暖簾を分けて、サッと出る」
というのが創作の鉄則として言われています。どういうことかと言うと、主役であることが観客全てに伝わるような、印象的かつオーラのある登場をさせなければいけない、というお客視点での戒めです。
そして、この初代ゴジラがそれの模範としてよく挙げられる作品なんですね。尾形役の宝田明さんが現場に入った初日、「主役の宝田です」と挨拶すると、
「バカヤロー、主役はゴジラだ」
と、怒られたというエピソードも有名ですね。
「続編」にはセンスが必要であることを逆説的に伝える初代ゴジラ
今、初代ゴジラはAmazonPrimeを含め配信で観ることができます。配信どころか、テレビも無い家のほうが多かった時代の作品ですからそう考えると凄いことです。映画は上映が終わったらそのまま眠りにつく、というものだったそうですから…今や、誰もが持ち歩くスマホで、いつでもどこでも鑑賞可能という技術の進歩、明らかにぶっ飛んでいますよね。
そんな70年の歴史の中で、ゴジラと名の付く映画は大量に作られましたが、本当にこの初代以上のものが存在しません。ゴジラも見た目が毎回変わりますし、悪役だったりヒーローだったり。さらに他の怪獣もワンサカ出てきて、「もしかすると、ゴジラは本当にいるのかもしれない」なんて思いを抱かせてくれる映画ではなくなりました。
もちろん、個々の作品を観ていけばそれぞれ良いところもあります、あるはずです(苦笑)。ですが基本的にはゴジラシリーズというのは最初のものを越えられておらず、有象無象の群れとなっているのが現状です。
2000年代に最終作と謳って公開されたこの作品は、申し訳ないですが失笑ものでした。
先日ターミネーター2について珠玉の作品だと評しましたが、ゆえにその後の3,4がよろしくなかったとも言われます。ゴジラシリーズと同じなんですね。一度、完成度の高いものが生まれると商業優先で作られた「続き」は、どうしても蛇足になりがち…というのが実態です。
ここにきてゴジラは、同じ監督の続投によるそのジンクスへの挑戦が発表されました。果たしてどんな作品で、自身の生み出した傑作に挑むのか。
期待、不安を織り交ぜながら待ちたいと思います。