マガジンのカバー画像

映像作品感想

196
映画中心の感想集です
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

映画感想「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(Filmarksより)

シリーズの前日譚にして、完結編。 先のfinalから連続公開された理由が、観終わると納得できる。 剣心が不殺の流浪人になった理由を語る、幕末の活劇と恋愛劇。 剣心と雪代巴の関係を軸に展開する。 人斬りだった時代ゆえ、惨殺の嵐。 基本的に剣心は最強の男で、志々雄や縁といった同格の強敵相手でなければ苦戦もしない。が、今回はそのような敵はいないが最も傷付き、絶望的な危機に陥る。それは何故か。 最大の敵は自分自身、という精神論における常套句があるが、今回の剣心は人斬りである自分自身

映画感想「るろうに剣心 最終章 The Final」(Filmarksより)

これも期待していた一本。 一年延期になり、ようやくお目見えした実写るろ剣完結編。 原作通り人誅編の映像化。 この作品のテーマである贖罪が前面に出る「本題編」と言ってもいい。 過去三作も漫画の実写映画化として大変高評価だったがその理由は、原作に沿いながら漫画的演出を廃した時代劇であることだと思う。 キャスティングも奇跡的なレベルでハマっており、今回の雪代縁はもはや原作越えと言わんばかりの存在感。 活劇は息をつかせぬ速さと重さが並び立ち、痛みが伝わってくるような迫力がある。

映画感想「シン・ウルトラマン」22/05/13(Filmarksより)

初日15:00時点、二回鑑賞。 今年一番の期待作、樋口&庵野コンビによるウルトラマン。 幼少期からウルトラっ子で、ポロポロの怪獣図鑑をまだ持っている自分に夢を見せてくれる作品だった。 前作?にあたるシンゴジラと違いオリジナルがTVシリーズである事をどう映画の尺に落とし込むのか見ものだったが、「外星人との接触」という要素で一貫しており、2時間の「1話」になっている。 ネロンガ→ガボラ→ザラブ→メフィラスの流れは、メフィラスの暗躍+異分子のザラブとまとめられており、価値観の違

アニメ感想「ぼっち・ざ・ろっく!」(Filmarksより)

放送終了後に視聴。 話題になので気になった。 令和版けいおん!とでも言うべき日常アニメだが、本筋はバンド活動を通じて少しずつ(本当に少しずつ)成長していくぼっちちゃんこと後藤ひとりの物語。彼女はギターの実力はあるものの最初は人前で発揮できない、という所が既に面白かった。 けいおん!は日常アニメの弱点である盛り上がりに欠ける、という点をライブシーンで補うという形で成功し、後に続くアイドル系アニメの原型になったと思っている。 この「ぼざろ」もそうで、基本は淡々としながら音楽シー

映画感想「映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!」(Filmarksより)

一年ぶりとなったプリキュア映画。 共演のない単独作としては3年ぶり。 おいしーなタウンに突如出現した、お子様ランチを模した遊園地ドリーミア。 子供しか入れないというそこに足を踏み入れたゆい達、食べ物を象った楽しい空間だが…支配人ケットシーの真意が次第に見え始める…。 毎回プリキュア映画では敵キャラの背景がドラマチックで、ラストへの盛り上がりを作っていくが今作は少し毛色を変え、ゆいへの憧れから背伸びしようとするコメコメがドラマの中心。 よく「料理には作り手の心がこもるから美

映画感想「劇場総集編 SSSS.GRIDMAN」(Filmarksより)

TV版総集編、再来月の新作映画に向けた販促の一環であろうが、映画としても素晴らしい出来だった。 元が全12話のシリーズで、やや変則的なセカイ系とでも呼ぶべきか、オタクが妄想の中で作り上げる世界をシニカルに描いた作品。 2時間にまとめるという主旨で、中心になるのはやはり新条アカネの内面の物語。彼女は結局黒幕の駒だったとわかるが、無邪気な創造主として日常を壊していく様は独特の恐怖感を感じる。 そうでありながら見た目が美少女なのでどうにか救いを…と思わせるキャラ造形がこのアニメの

アニメ感想「風都探偵」(Filmarksより)

仮面ライダー50周年企画の一つ。 U-NEXTには入っていないが地上波で鑑賞。 流石に公式続編、TV版の要素をしっかり汲み取ったWの第二章という感じで話のノリは実写版のまま。 メモリ犯罪を解き明かしていく探偵ものの面白さがしっかりあり、3話完結というスタイルでありながらテンポが悪くもなく丁寧さを感じる秀作だった。裏風都などアニメであればこその設定も活きている。 声優陣も違和感がないし、何より新キャラのときめがとても気に入った。エヴァのマリもそうだが、既に完成された世界に新キ

映画感想「シン・エヴァンゲリオン劇場版」21/03/08(Filmarksより)

初日初回、Qを観た同じ場所で結末を見届けた。 「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」 このフレーズが示す様に、TV版から続くこの 「世界」に決着が付いた作品。 前作ラストで喪失感と罪悪感に打ちのめされ 心を閉ざしたシンジが、人々の温かさに触れ 自分の運命と対峙する物語。 奇しくも現在、リアルに滅びを感じる世相の中 人の弱さと強さをガトリング砲の様に打ち込んで 来るドラマ。筋としてはシンジの成長物語であり ネルフとヴィレの決戦が描かれるのみ。 Qでぶち上げられた数々の謎が解

映画感想「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(Filmarksより)

久しぶりのガンダム映画劇場鑑賞。 原作小説未読なので純粋に新しい物語として楽しめた。 正体を隠すハサウェイと、勘の鋭い少女・ギギの出逢いから始まるサスペンスに、マフティーとその模倣犯も含む戦場模様。 優雅なホテルや市街地が一瞬にして地獄絵図と化す様は宇宙世紀ガンダムの序曲として定番の展開、懐かしさすら感じた。 前述のサスペンス風味が効いており、ギギ、ケネスとの関係と会話は修羅場で知り合った仲間感の裏に一触即発の緊張感が漂い面白味抜群。 戦闘シーンも夜間であるがゆえの爆炎の映

映画感想「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!」(Filmarksより)

マクロスΔの完結編。 フレイアの故郷ウィンダミアで、凱旋を兼ねたワルキューレのライブが開かれるがその夜、謎の敵が襲来する…。 TV版は放送当時に視聴済みだが、正直に言うとあまり印象に残っていなかった。 なので今回もF短編が目当てだったクチだが、素直に認めるとこちらが最高だった。 近年CGの発達により、歌&ダンスのライブシーンがアニメにも多い。そのクオリティはどんどん上がり、絵での模倣というよりオリジナルのエンタメの域に達している。 そんなアニメライブの極地とでも言おうか、

アニメ感想「リコリス・リコイル」(Filmarksより)

放送途中から追い始め、これは面白い!と思った作品。 女子高生エージェントといういかにもアニメ的な設定ながらキャラ造形がとても魅力的で、キャスト陣の技量の高さがシビアな展開にグッと引き込んでいってくれた。 任務一辺倒で世間ズレしていたたきなが、陽気な女子高生千束に出逢い変わっていく話…と思わせて、存在自体が異質だった千束が仲間によって真人間になれる(近付く?)物語だった。 伏線の張り方や回収、展開の早さと台詞回しの巧さがあって毎話、見所充分の快作であったと言える。 気がつ

映画感想「かがみの孤城」(Filmarksより)

予告で気になっていたので鑑賞、今年一本目。 不登校の女子中学生、安西こころがある日部屋の鏡に吸い込まれ、その先では狼の面を付けた少女の出迎えと洋風の城が待っていた。 城にはこころと同年代の少年少女達が6人集められており…。 ファンタジー物の要素がありながら、学校の問題を直球で描く社会派作品。謎を解く物語ではあるが冒険ではなく、7人のコミュニケーションを中心に話が進む。 仰々しいアクションなどがなくとも、解決と紐解きを連らせる展開に胸がすく思いだった。 7人がそれぞれ抱える

映画感想「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」(Filmarksより)

TV版15話をリメイク、劇場版にビルドアップしたもの。 遥か昔にTV版は履修済みだが、記憶の彼方であるがゆえにほぼ新作の感覚で観る事が出来た。 今やアムロレイと言えば神域パイロットのイメージが強いが、まだ少年パイロットな頃の姿は懐かしくも新鮮に映った。 改めて思ったのは、正義の連邦悪のジオンという構図のアニメではあるもののこれは戦争、各々の正義があるという事。 ドアンは義の人であり、島の子供達の父親である。その暮らしに触れたアムロにとって、元ジオンの人間であることやザクの

映画感想「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」(Filmarksより)

初日初回、満員のスクリーンで鑑賞。 ビルドとジオウの共演作品に平成ライダー全員が登場する内容。 序盤から物語が謎に包まれており、解かれていく過程でジオウの設定とビルドのテーマが絡み合っていく。そして根本にあるのは電王のシステムであったりするのが今回の特殊なポイント。 前年までと違い出演を伏せられていた野上良太郎の登場が公開後の話題を呼んでいる。確かに現在ビッグネームとなった彼の出演には驚きだが、それを隠す意義には若干の疑問も残る。 前年の平成ジェネレーションズでは4〜5人