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大好きな石黒達昌さんのSF以外の作品「最終上映」

<文学(211歩目)>
職業人ならば伝わる矜持「最終上映」

最終上映
石黒 逹昌 (著)
福武書店

「211歩目」は、石黒 逹昌さんの文学作品。
2篇の短篇ですが、濃さは二冊分。

この二作品は、医師としての職務にあたりながら無力感が描かれている。
しかし、どんな職業人でも取り組んだことが思うにまかせないことは往々にしてある。

そこでの職業人としての矜持がとてもうまく描かれている。

「最終上映」
大学時代の友人との距離感、そして医師としての再会と別れ。
いろいろな人生があるが、医師としての人生で何度も対峙する「死」についての石黒さんの考えが伝わる。
私は、石黒さんのSF作品が好きで著作を追っているのですが、この作品はSFではないが、いろいろなことが伝わる作品でした。
ありがとうございます。

「ステージ」
こちらも大学時代の恋人との切ない恋愛、そして医師としての同僚を担当する心境。
恋人との別れの現実感。
※担当医としての別れは、私たちの別れとちょっと違う。

意思があって、感情を喚起する「生」の先に横たわる無機質な「死」。
透徹した文章の中に、いろいろなものが伝わる作品です。

なんか、石黒さんの作品は医師を引退してからの「第二ステージ」でもっと読みたくなります。
そんな日が来ることを願っています。

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