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女性作家による、フランスを見つめたモノクロームの作品「砂漠が街に入りこんだ日」

<文学(170歩目)>
美しい作品で、彩が描かれているが、グカ・ハンさんの置かれた環境からなのか?無機質で、フランスが透明に感じた。砂漠というよりも、透明でモノクロームの世界です。

砂漠が街に入りこんだ日
グカ・ハン (著), 原 正人 (翻訳)
リトル・モア

「170歩目」は、韓国出身の女性のグカ・ハンさんが、渡航先のフランスでフランス語により描いた作品。

母語以外での作品なので、以前に読んだアゴタ・クリストフさんの作品と同じ設定ですが、鉄のカーテンの向こうから亡命してきたアゴタ・クリストフさんから見た西側社会と、グカ・ハンさんと共通しているのは閉塞感です。

脱出してきた国により、自由の国フランスの感じ方の違いなのか?それぞれの作品からのにじみ方が違っていて、興味深い。

グカ・ハンさんの作品は、とても無機質な作品です。

「砂漠」に例えているが、もしやして脱出してきた韓国社会の「重たさ」(グカ・ハンさんは、歴史や密な人間関係と表現している)と、まだ密接な関係が築けていないフランス社会のとらえ方なのかな?とも感じた。

「異邦人」の立ち位置から、「市民」の立ち位置に移行した後のグカ・ハンさんの作品が読みたいと思った。

変わらず、無機質な「砂漠」なのか?フランスの色がついていくのか?
関心を持って待っています。

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