新しい中東を舞台とした遠未来SF「ロボットの夢の都市」
<SF(102歩目)>
ちょっとない中東を舞台とした「遠未来SF]で、なぜか文学的にも心をつかむ。余韻がいいです。
ロボットの夢の都市
ラヴィ・ティドハー (著), 茂木 健 (翻訳)
東京創元社
「102歩目」はとても不思議な余韻にひたれる作品です。
そして、なぜか心に残る。ラヴィ・ティドハーさんの「コンティニュイティ(Continuity)」シリーズを読み進めたくなるインパクトありました。
特に確か5年ほど前にトルコでサウジアラビアのジャーナリストが大使館内で殺された事件の際に、「ネオム」というサウジアラビアの皇太子が構想した未来都市「ネオム」計画。
この構想が発表されたときには、「近未来SFみたい」と感じたのですが、この作品内では既に「ネオム」が過去のものとなった遠未来の作品になっている。
「ネオム」が過去のものとなっている世界では、中東を舞台にした第四次世界大戦も集結している。イスラエルとパレスチナが「デジタル統合」されている。等々が描かれていて、否応なしにこの「コンティニュイティ(Continuity)」シリーズを読みたくなりました。
設定がとても興味深いのですが、物語に深い余韻を残すのは幻想的な技巧でした。
作中に引用される古典の名文が深みを与えている。
「<ロボットには目がないというのか?ロボットには手がないと思っているのか?>」「シャイロックはこう問いました――――おまえたちは、ひどい目に遭わされてもユダヤ人は復讐しないと思っているのか―――? 暴力と復讐の関係を、シャイロックはよく理解していました。もしロボットが多くの点で人間に似ているのがあれば、復讐ができるという点でも似ているのです」
「ベニスの商人」でのシャイロックの名文句が、シンギュラリティを迎える際にロボット、あるいはAIでも同じ問題が出てくることを暗にほのめかしていて、端々に考えさせられるテクニックがちりばめられている。
私は、ラヴィ・ティドハーさんは初読でしたが、この未来史のシリーズでもある「コンティニュイティ(Continuity)」シリーズは読み進めたいと感じました。
ちょっとない作品です。
#読書感想文 #わたしの本棚 #ロボットの夢の都市 #創元海外SF叢書 #ラヴィ・ティドハー #ティドハー #茂木健 #東京創元社 #分類外 #ネオム #ノード #イース #イスラエル #パレスチナ #ユダヤ・パレスチナ連邦 #死海 #アル・クセイル #シナイ砂漠 #紅海 #幽霊海岸 #サウジアラビア #セントラル・ステーション #NEOM #ロボット #バラ #SF #SF #コンティニュイティ #Continuity