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少女部活小説でもあり、ディストピアSF「コミケへの聖歌」
<SF(235歩目)>
ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作で、途中からディストピアSFで疾走する。
コミケへの聖歌
カスガ (著)
早川書房
「235歩目」はカスガさんのディストピアSF作品。
最初は、「今年こそはコミケへ行くよ」との文句。そしてカバーの装画、完全に少女部活小説かと思いました。
何といっても最初は「漫画同好会」ですから、そう思ってしまったのは仕方ない。
少女たちの「創作への思い」に終始するのかと思った。
文明崩壊後に、数少ない「漫画」を巡り、手に入らない巻を少女たちの想像力で補完していく。こんな作品に見えますが、かなり真面目なポストアポカリプスな描写が多くなり、日本の古来からの女系社会と封建社会が描かれていくと、真剣なディストピアSFになっていく。
毒親あり、百合的な描写あり、言葉も少女言葉あり、でも現実はかなり過酷。
カスガさん、予定調和にしないところが「いいね!」と思いました。
面白い。
色々な意味で粗削りですが、新人なのでこれからの作品に期待です。
なんか文明社会が女子高の授業中。それが崩壊すると放課後の「コミケへの聖歌」になる感じがする。
カバーと異なり、かなり精緻に書かれているところも面白いです。
でも、SFとか関係なく因縁がたくさんある田舎の封建社会はちょっと居心地が悪い世界だと実感しました。「封建社会≒身分社会」だが、この「封建社会」があらわになると結構カバーと異なり「重い」と感じました。
日本って、小さな国で徒歩であっても、海に出るのはたやすいが、文明崩壊した封建社会になると未知の領域が増えて、なんてことない移動もできなくなる。
すると小さな日本であっても、物語が大きく広がるとも感じました。
面白いです。
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