2024年が舞台の近未来SF作品「公正的戦闘規範」
<SF(67歩目)>
2017年に7年後の近未来を描いた作品。その後のウクライナでの戦争等、国家間の戦争の変化を先取りしている作品で、藤井太洋さんの近未来SFはやはりとても面白い。
公正的戦闘規範
藤井 太洋 (著)
早川書房
「67歩目」は、藤井太洋さんの近未来SFはおススメです。
5つの短篇は、どれも長編作品にしても素晴らしい作品になると思う。とても贅沢な短篇集です。
作者の藤井太洋さんは、ファンが沢山いるSF作家。私は、全作品大好きです。
特に、技術に裏打ちされた近未来SFが素晴らしい。汎用的に普及している技術の先の道筋が見えてくる作品が多い。この後の科学技術の発展の方向が見えてくる作品が多い。その意味で、ベンチャー企業型の作品が多いです。
実際に、その方向に進んでいるベンチャーもあります。
とても参考になります。
また、何か国際政治で事件が勃発すると藤井さんが描いた世界が目に浮かぶのは、私だけではないと思います。
2年前のウクライナでの戦争、そして現在進行形の分断されたアメリカの中での大統領選、この5篇の中にも彷彿させるものがあります。
この本に入っている5篇はどれも素晴らしい。
私は特に記憶に刻まれるのは
「コラボレーション」
この作品は特に、プログラムを書いている方にはど真ん中。
インターネットって、問題点をがぶ飲みしながらどんどん進化している。
しかし、問題点が大きくなり過ぎた時にこの作品中にある「トゥルーネット」みたいなものに置き換わるかもしれません。
その時の問題点は?この核心部が描かれていてとても参考になる。
「公正的戦闘規範」
発表された2015年当時は、「イスラム国(IS)」の問題が大量に報じられていた時代。時代を直撃して、読み込みました。
そして、「IS」後の2024年。
この作品の思想は、現在のウクライナでの戦争で具体化している薄気味悪さあり。
「命」の損耗を考えると、ドローンをはじめとする各種無人兵器の登場は話題にあがっていましたが、実践導入で主体的な兵器になったのが、このウクライナでの戦争だと思います。
これからの方向性を考えるとこの作品は大きなヒントがあると思う。
ここで一番の藤井太洋さんの作品の特徴が出てくる。
藤井さんの作品は、ディストピア世界、あるいはペシミスティックなアプローチが多いのですが、技術と携わる若者に「希望」がある。
とても読みごこちよく、特に思い出されて再読しています。
おススメです。
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