短歌まとめ_7
直近の採用歌や賞の結果などについて書きます。※敬称略
1.新聞歌壇
東京歌壇 東直子選 特選一席・8月の月間賞 2021.8.8
傘のない二人がはしゃぎながらゆく互いが互いの傘だと思う
東直子さんより評をいただきました
【評】傘がなくて雨に濡れるしかない状況でも、親しい二人ならばかえって楽しい気持ちになる。一緒でいることの心強さを「互いの傘」と名付けた。
2021年8月8日 東京新聞 朝刊より引用
毎日歌壇 加藤治郎選 入選 2021.8.9
無題、って名前のついた月曜が、わたしが、ここは、なんにもないね
東京歌壇 東直子選 入選 2021.8.15
夕立を黄色の傘が駆け抜けてイルカの声で鳴くランドセル
東京歌壇 東直子選 入選 2021.8.29
胱という字の美しさ満月のひかりはわたしのなかにもめぐる
毎日歌壇 加藤治郎選 特選一席 2021.9.20
雨に打たれたことのあるひとだけが入れる保険を探しています
加藤治郎さんに評をいただきました
【評】架空の保険に願いを託す。雨に打たれた自分は救われたかった。そんな思いが滲(にじ)んでいる。上句は755と読んでみたい。
2021年9月20日 毎日新聞 朝刊より引用
2.うたらば
月刊うたらば テーマ「溢」
天国の一部があふれてきたようなゲリラ豪雨を素肌に受ける
感情はあふれだすもの花屋にはかなしいもうれしいも売ってる
月刊うたらば テーマ「名」
だれにでもあだ名をつけたがるひとの名前を思い出せずにいます
3.短歌研究新人賞
第六十四回短歌研究新人賞 佳作
短歌研究 2021年9月号 5首掲載
生きるを買う/木村槿 より
空いている店を探しているだけで満腹になる火曜の渋谷
だれひとり知ってる人のいない町で担々麺をざぶざぶ食べる
暮れる町をいいなと思ういいなって思った途端にわたしの町だ
ゆっくりと歩道をゆけばゆっくりとタクシーの群れが近づいてくる
この町で深夜を飼おう ねえ深夜、わたしのとこにずっといないで
4.全日本短歌大会
第42回全日本短歌大会 森本 平 選者賞
生きることは絶えず麦茶を沸かすことふたりでいてもひとりでいても
森本平さんより評をいただきました
【評】諦観とも達観とも、生活の小さな喜びの確認ともとれる上句に対し下句の表現がドラマを作っている。さまざまな解釈を許容しつつも、読みの方向性がしっかり規定されており、日常の中に「生」の意味が垣間見える一首。
第15回全日本学生・ジュニア短歌大会
第42回全日本短歌大会
入賞作品集より引用
5.恋愛短歌同好会
ショートケーキソング 恋愛短歌同好会会報 第29号 toron*選
レシートはいらないけれどレシートを待ってしまうよひとりの夜は
toron*さんより評をいただきました
≫恋愛短歌同好会 会報第29号
ショートケーキソング 恋愛短歌同好会会報 第30号 長井めも選
極寒のイオンモールで手をつなぎあなたと生きてみようと思った
長井めもさんより評をいただきました
≫恋愛短歌同好会 会報第30号
6.あおの目青子さん〈 あなたの短歌を閉じ込めます企画 〉
テーマ:秋
長い長い銀杏並木を自転車でゆけば宇宙の裏道である
あおの目青子さんがこの短歌をイメージして製作したレジンはこちら
ひとつの目標でもあった東京歌壇の月間賞をいただきました。とてもうれしいです。
短歌研究新人賞は佳作、全日本短歌大会は選者賞という結果で自分でも驚き。
日々淡々と詠んでいる歌がこういった形で日の目を見るのはうれしいものですね。
また、恋愛短歌同好会やあおの目青子さんの企画などすてきな企画のおかげでたのしく短歌を続けられています。
いつもありがとうございます。
これからも引き続き詠んでいきたいと思います。
それでは。
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