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詩「はつ雪」


登校時間
私の視界の右端に居る
黒い塊が好きでした
私と同じように
小刻みに
白い息を吐いている

同じ時を過ごしていても
流れている時間は違う
あなたは青春時代のページを
パラパラとめくっていた
誰よりも先に行こうとしていた
私の足では追い付けない

凍った空気が平面から立体に変わる
あなたが歩いた道を灰色に染める
チェーンが付いたタイヤが
次々と行き過ぎる
今日
積もることはないのだろう

次の日
私の視界の右端に
もう あなたは居なかった

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