詩「高鳴り」
積み重なった悲しみが沈澱していく
薄暗い夜に
スマホの光が枕に貼り付いて
奇妙に光っていた
それは
記号の様な
似た悲しみの様な
負を否定するかの様な
文字の羅列だった
リズムを与えられずに
干からびて横たわっていた
心臓がチカチカと点滅する
胃が忙しなく上下して躍動する
歓喜
手は震えていた
額に汗が広がった
文字は画面から目へ飛び出した
表面の水に流されぬよう留まろうとする
私の体と一緒に隆起する
発見
まだ何も作られていない宇宙に
同じ星を見つけた気がした
文字が快活にリズムを掴まえた
波紋の様に緩やかに広がっていく
この胸の高鳴り